さまざまな質問やリクエストに対してAIを活用して自然な文章で回答する生成AI「ChatGPT」が注目を集めています。そして、早い企業では、すでにビジネスシーンでの利用も進んでいるようです。今回はそんな「ChatGPT」の概要と、ビジネス活用事例についてご紹介します。
ChatGPTを業務活用している企業は17%!?
産経新聞が主要118社を対象に4月に実施したアンケートでは、「ChatGPTを業務に活用しているか」という問いに対して、51.7%が「ChatGPTの利用を検討している」と回答しました。(※1)
一方で、5月のロイター企業調査では、「ChatGPT」の活用状況について、「業務に使っている」もしくは「活用を検討している」と回答した企業は合わせて17%という数字にとどまりました。「活用していない」と回答したのは81%にのぼり、その理由としては「社内ルール作りができていない」が72%で最多でした。次いで、「情報の信憑性」が33%、「機密情報の漏洩」が24%で、現段階でのサービス自体の信頼性についての懸念の声が集まりました。(※2)
これらのデータから、世界的に注目されているChatGPTをビジネス活用したいニーズはあるものの、少なくともビジネス活用については慎重になっている企業が多いことが推測されます。
ChatGPTをビジネスで活用するヒント
「便利だとは言われても、突然でてきたAIを一体どう使いこなせばいいの?」ということで、ChatGPTはビジネスでどのように活用できそうか、ChatGPTに直接聞いてみました。
「ChatGPTをビジネスで活用するポイントは?」
ChatGPTの回答
ChatGPTをビジネスで活用するポイントはいくつかあります。以下にいくつかのポイントを挙げます。
(1)カスタマーサポート
ChatGPTを利用して、カスタマーサポートを強化することができます。顧客の問い合わせや質問に迅速かつ正確に応答し、24時間体制でサポートを提供することができます。
(2)自動化と効率化
ChatGPTを使用することで、繰り返しの質問やタスクを自動化することができます。例えば、商品の在庫確認や注文追跡などの簡単なタスクをChatGPTが担当することで、人的リソースを節約し、効率を向上させることができます。
(3)カスタム化とパーソナライゼーション
ChatGPTはカスタマイズ可能であり、特定のビジネスニーズや業界に合わせてトレーニングすることができます。これにより、よりパーソナライズされた対話や情報提供を顧客に提供することができます。
(4)マーケティングと販売促進
ChatGPTを使用して、顧客との対話を通じて商品やサービスに関する情報を提供し、購買意欲を高めることができます。また、個別の顧客の好みやニーズに基づいて推奨やアドバイスを提供することも可能です。
(5)マルチ言語対応
ChatGPTは多言語に対応しているため、グローバルな顧客に対してもサポートを提供することができます。さまざまな言語での対話やサービス提供が可能です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーなるほど。この回答を見ると、いくつか活用シーンをイメージできそうです。例えば、ChatGPTを企業サイトのチャットボットに組み込むなど、比較的工数をかけずにできることもありそうです。
ChatGPTのビジネス活用事例5選
ChatGPTのビジネス活用に二の足を踏んでいる企業が少なくない中、いち早く業務に組み込んでいる企業もあります。一部をご紹介しましょう。
note株式会社(※3)
note株式会社がChatGPTを活用しているのは以下のような内容です。
・アイデア出し
・イベントのタイトル作成
また、創作支援ツール「note AIアシスタント(β)」機能をリリースし、記事のアイデア・タイトル・見出しなどをChatGPTが提案してくれる仕組みをつくりました。
note株式会社で積極的ChatGPT活用が進んだのは、CXOによるChatGPTの活用講座の実施で、現場での意識が高まったことが要因のようです。講座の内容は、実際にChatGPTに作成させた文章の紹介や、より高いクオリティでAIに回答をもらうための質問のコツなど、実用的なものでした。
エクスペディア・グループ(※4)
旅行ビジネスの中で最も早くChatGPTのプラグインを作った企業の一つが、エクスペディア・グループです。同社はChatGPTを活用した旅行プランニングツールを実装、モバイルアプリで自分好みの旅が予約できるのが人気です。
ベネッセホールディングス(※5)
DX戦略を事業の柱に据えるベネッセでは、Microsoft Azure上のOpenAIを活用したAIチャット「Benesse GPT」を開発しました。社員は、イントラネット上でいつでもAIチャットサービスの使用が可能です。AIチャットサービスによる業務効率化や、商品開発に向けた技術活用の検証などが、セキュアな環境下で実現しました。
「Benesse GPT」の活用例大和証券(※6)
大和証券グループは、Microsoft Azure上のOpenAIを活用し、英語での情報収集のサポートや企画書などの作成や、プログラミングの素案作成などに利用すると発表しました。利用対象は大和証券グループの全社員約9,000人です。金融機関のChatGPT活用とだけあって世間も注目しているようです。
宮崎県都城市(※7)
宮崎県都城市は、ChatGPTの行政分野における活用の可能性を探る調査研究を、2023年6月から行うと発表しました。活用した際の行政業務の効率化などを検証する考えで、同サービスを自治体が安全に活用するためのシステム開発にも取り組むそうです。
具体的には、以下の内容が発表されています。
・シフトプラス社と組み、行政分野でChatGPTを利用可能にする基盤を開発予定。
・市民への広報文作成、新規事業アイデア、他言語対応での活用を検討。
・2023年6月頃から職員がChatGPT活用可能になる見込み。
ビジネス進化の可能性が広がる一方で、ルール整備の必要性も
新しいテクノロジーには、メリットもあればデメリットもあります。ChatGPTがこれだけ注目されているのは、ビジネスレベルでの活用が期待されていることも大きいでしょう。しかしながら、個人情報保護や正確性、情報漏洩のリスクがあることは否めません。また、教育現場では学生の不正や問題解決能力の低下などを理由に、ChatGPTを禁止する例も見られます。
特にAI分野の発展に関しては、それを扱うヒト側のスキルアップが必要不可欠です。活用方法を工夫したり、回答情報を鵜呑みにせずに議論したり、まさにAIと共存する姿勢が大切です。
ChatGPTの活用により、身近な業務のDX化をはじめとしたビジネス活用の可能性は大いに広がりますが、同時に、社内のルール整備や個人のリテラシー向上、また、働き方や仕事の効率性をアップデートさせていくことが望まれるでしょう。
出典
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