機械や装置の運用保守にどんなイメージをお持ちですか?
トラブルが発生すると、復旧までに時間がかかって大変!
サービスエンジニアが出向かないことには原因の特定も難しいのでは?
いつトラブルが発生するかもわからず、顧客先の状況に引きずられそう。
そんな印象を抱く方も多いかもしれません。しかし、DXを活用してこれらの”負の常識”を打ち砕いた事例があります。サポート時間を短縮させながら、サポートの質も向上する。さらには、働く人の幸せまでもプラスする。「え、そんなこと可能なの?」と思わずツッコミを入れてしまいそうな成果の実現には、DXを活用した「遠隔保守サービス」が大きな役割を果たしていました。
● 企業プロフィール
電子基板の表面に電子部品を取り付ける表面実装機の開発・販売を行う企業。
国内外の製造業に多くの顧客を持つ。
● DX化概要
お客様専用ダイヤルでのトラブル対応から、顧客先の装置に直接アクセスできる遠隔保守サービスへサポートを拡充した。
DX化によるBefore/After
DX化前の課題
- お客様専用のサポートダイヤルでの初期対応となるため、装置の状況をつかみづらい。
- 電話やメール、写真を利用した情報伝達となるため、
ミスコミュニケーションも起こりやすく、トラブル原因を特定しづらい。 - トラブル発生から復旧までに時間がかかる。海外顧客も多く、
サービスエンジニアの移動時間のロスも大きい。
DX化後の成果
- 離れていても装置に直接アクセスできるため、タイムロスなく
トラブル状況の把握ができるようになった。 - エラー履歴や動作ログを確認しながら顧客とコミュニケーションできるため、
原因特定も迅速化。 - トラブル発生から復旧までの時間の大幅短縮が実現。
精度高い原因推定で適切な準備をした上でサービスエンジニアが訪問できるように
なっただけでなく、訪問なしに復旧するケースも生まれた。
運用保守は時間がかかるもの。現場に出向いてナンボでリモートワークは難しい。そんな思い込みは、顧客先の装置に直接アクセスする環境の整備で解消されました。遠隔でも原因推定ができるようになり、トラブルの状況把握から復旧までの時間も大幅短縮。それだけでなく、働く人の心理的ストレスを激減させるという幸せな副産物も生まれました。
電話メインのじれったいやり取りで神経がすり減ることが少なくなったこと。
コミュニケーションの行き違いでモヤモヤすることが減ったこと。
その結果、サービス提供側と顧客の関係性も向上したこと。
これにより、トラブル解消に集中できる環境が整ったと言えるでしょう。
DX化のその先へーー今後の展望
DXを活用した遠隔保守サービスで業務改善が実現したことで、新たな事業展開やサービス拡充、ユーザーへの付加価値提供への展望も見えてきました。
たとえば、顧客側装置の動作履歴やログをもとに、マシンの動作を予測し、トラブルのタイミングまで予め調査できるツールの開発。トラブル復旧までの時間をさらに削減できるのではないかとの期待が寄せられています。
また、リモートデスクトップを活用して顧客の装置理解を深め、装置活用のスキルを向上させるトレーニング機会の提供も検討中。製品導入間もない顧客や、保守担当として日が浅い顧客にとって、不安を解消する心強い機会になるはずです。また、サービスエンジニアにとっても、顧客の製品理解が進むことでサービス提供の質をさらに高めていけるでしょう。
こうして見てみると、DXを活用した業務効率化の実現が生産性向上だけにとどまらず、本質的な価値を磨くことに次々と繋がっていることがわかります。よりハッピーな未来の展望は、効率化がもたらす安定や安心感があってこそ描けるものです。DX化による業務改善を起点に、さまざまな幸せなサイクルが回り始める。そこにこそ、業務効率化の真髄があると言えるのかもしれません。