リモートアクセスには、不正アクセスや個人情報の流出、サイバー攻撃からのマルウェア感染といったリスクがあります。安全なリモートワーク環境を構築するためには、セキュリティの強化が欠かせません。
しかし、具体的にどのようなセキュリティ対策を講じればよいのかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リモートアクセスのセキュリティリスクと、具体的な対策方法を紹介します。セキュリティトラブル事例やおすすめのリモートツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
リモートアクセスのセキュリティリスク
リモートアクセスとは、手元の端末から離れた場所にあるコンピューターやタブレットなどのデバイスにアクセスし、遠隔操作する仕組みです。リモートワークを実現するための手段として、リモートアクセスの重要性が高まっています。
しかし、リモートアクセスを利用する際に懸念されるのがセキュリティリスクです。リモートアクセスは柔軟性が高い便利な技術である一方、企業や個人のデータを脅かす危険性があります。
リモートアクセスの主なセキュリティリスクは以下のとおりです。
・不正アクセス
・個人情報の流出
・サイバー攻撃からのマルウェア感染
それぞれ詳しく解説します。
不正アクセス
不正アクセスとは、悪意のある第三者がシステムに侵入し、機密情報へとアクセスする行為です。
誰にでもわかるパスワードや、古いセキュリティソフトウェアを利用している場合、脆弱性を突いてシステムに侵入されるおそれがあります。一度侵入されると、企業の財務情報や顧客データなどの重要な情報が盗まれる危険性があり、大きな損害につながりかねません。
個人情報の流出
リモートアクセス中は、個人情報が第三者に漏洩する危険性も高まります。不正アクセスだけではなく、セキュリティが不十分なネットワーク経由でのデータ転送時に個人情報の流出が発生するケースも少なくありません。
たとえば、公共のWi-Fiを使用して業務データを送信する場合、暗号化されていないデータは簡単に傍受されます。情報漏洩は、個人のプライバシー侵害や企業の信頼失墜につながるため警戒が必要です。
サイバー攻撃からのマルウェア感染
サイバー攻撃からのマルウェア感染は、リモートアクセスを介してシステムがウイルスに犯されることです。ハッカーはシステムの制御を奪い、データを盗み出したり、システムを破壊したりします。
たとえば、フィッシングメールによって偽のリモートアクセス要求を行い、ユーザーにマルウェアをダウンロードさせる手口があります。マルウェアに感染すると、復旧に多大な時間とコストがかかるほか、重要な情報の損失にもつながるため注意が必要です。
リモートワークで起こりやすいセキュリティトラブル事例
ここでは、リモートワーク中、実際に起こりやすいセキュリティトラブル事例を紹介します。事例をまとめると以下のとおりです。
・端末の紛失や盗難
・私用PCから社内ネットワークへの不正アクセス
・保管されたデータの紛失や誤削除
・公衆Wi-Fi利用による情報漏洩
・公共の場での盗聴や覗き見
それぞれ詳しく解説します。
端末の紛失や盗難
リモートワーク中に端末を紛失したり盗難に遭ったりすると、端末に保存されている機密情報が第三者の手にわたるリスクがあります。たとえば、カフェで作業中、一時的に席を離れた隙にノートパソコンが盗まれるケースが考えられます。
紛失や盗難による情報漏洩を防ぐためには、端末にパスワードを設定する、データの暗号化を行うといった対策が有効です。
私用PCから社内ネットワークへの不正アクセス
私用PCでリモートワークを行う場合、端末のセキュリティ対策が不十分であるケースも少なくありません。セキュリティ対策が不十分な端末は、社内ネットワークへの不正アクセスの起点となる可能性があります。
たとえば、セキュリティの低い私用PCからVPNを通じて社内ネットワークにアクセスすると、マルウェアがネットワーク内に侵入するリスクが高まります。社内ネットワークへのアクセス前に使用する端末のセキュリティチェックを行ったり、自社専用のセキュリティ対策が施されたVPNを使用したりと、リスクを軽減するための対策が必要です。
保管されたデータの紛失や誤削除
リモートワークの場合、それぞれが異なるデバイスやネットワーク経由で外部ドライブやクラウドサービスに保管されたデータにアクセスします。通常よりも適切なアクセス権限の管理や制御が難しくなり、紛失や誤削除といったトラブルが発生するケースもあります。
重要なファイルや顧客情報を扱う場合、こうしたトラブルは業務に大きな支障をきたしかねません。復旧に多くの時間とコストがかかるほか、データを完全に失うリスクもあります。
そのため、定期的なバックアップを実施する、複数の場所にデータを保存するといった対策が必要です。
公衆Wi-Fi利用による情報漏洩
公衆Wi-Fiはリモートワークにおいて便利なツールですが、セキュリティが不十分なため情報漏洩のリスクが高まります。公衆Wi-Fiを介して業務メールをチェックしたり、機密文書にアクセスしたりすると、データ傍受の危険性が高まるため注意しましょう。
とくに、暗号化されていない通信は、容易に盗聴されるおそれがあります。公衆Wi-Fiの使用を避けるか、必要な場合はVPNを使用してデータ通信を暗号化することが推奨されます。
公共の場での盗聴や覗き見
公共の場所でリモートワークを行う場合、周囲の人々による盗聴や覗き見が発生する可能性もあります。たとえば、カフェや図書館などで作業をしていると、画面が他人に見られたり会話が聞かれたりするおそれがあり、情報漏洩のリスクが高まります。盗聴や覗き見のトラブルを防ぐためには、プライバシーフィルターを画面に装着する、重要な会話は公共の場所では行わないといった対策が有効です。
さらに、機密性の高い作業は、よりプライベートな環境で行うようにしましょう。
リモートアクセスのセキュリティ対策・強化方法8選
リモートアクセスのセキュリティ対策は、データの保護と不正アクセスの防止に不可欠です。以下8つの強化方法は、リモートワーク環境を安全に保つための基礎となります。
・強力なパスワードの設定
・多要素認証(MFA)
・VPN・SASE接続の活用
・RDP接続の暗号化
・IPアドレス・ログイン試行回数の制限
・エンドポイントセキュリティの導入
・サーバー上のデータの暗号化
・セキュリティガイドラインの策定
それぞれ詳しく解説します。
1. 強力なパスワードの設定
強力なパスワードの設定は、誰でも簡単に行えるセキュリティ対策です。パスワードは、少なくとも12文字以上で、数字・大文字・小文字・特殊文字を組み合わせて設定しましょう。
たとえば「Password123!」のような単純なパスワードは推測されやすいため避けてください。「7gB!9#2vF$3w」のような、複雑な文字列に設定することが重要です。
2. 多要素認証(MFA)
多要素認証(MFA)は、知識情報・所持情報・生体情報の認証の3要素のうち、2つ以上を組み合わせる方法です。たとえば、ユーザー名とパスワードだけではなく、SMS経由で送信されるコード認証や生体認証などを組み合わせることでセキュリティを向上させます。
リモートアクセス環境でパスワードが漏洩した場合でも、追加の認証手段があれば不正ログインを防ぐことが可能です。多要素認証の導入は、企業のセキュリティポリシーにおいても必須の要件となりつつあります。
3. VPN・SASE接続の活用
VPN(Virtual Private Network)とSASE(Secure Access Service Edge)は、リモートアクセス時のデータ通信を暗号化し、安全な接続を確保するものです。
VPNは、インターネット上に仮想的なプライベートネットワークを構築し、安全に通信を行うための技術です。SASEは、従来のネットワークセキュリティとクラウドセキュリティの機能を統合し、セキュリティを強化します。
それぞれの技術を活用すれば、セキュリティが不確かな環境でも社内ネットワークへの安全なアクセスが可能となります。
4. RDP接続の暗号化
RDP(リモートデスクトッププロトコル)接続の暗号化は、リモートアクセスの安全性を高めるために不可欠です。
機密情報を扱うリモートワークにおいて、RDP接続の暗号化を行えば、データの盗聴や改ざんを防いで情報漏洩のリスクを大幅に減少させることが可能です。多くのリモートデスクトップソフトウェアは、高度な暗号化技術を使用しており、有効にしておく必要があります。
5. IPアドレス・ログイン試行回数の制限
IPアドレスにもとづくアクセス制限とログイン試行回数の制限は、不正アクセスを防ぐ効果的な方法です。特定のIPアドレスからのアクセスを許可すれば、信頼できるユーザーのみがシステムに入れます。
また、ログイン試行回数を制限することで、不正アクセスのリスクを軽減できます。システムへの不正アクセスを試みるハッカーの攻撃を阻止できるでしょう。
6. エンドポイントセキュリティの導入
エンドポイントセキュリティの導入は、リモートワーク環境におけるデバイス保護のために重要です。エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどのネットワークに接続された端末を脅威から保護するためのセキュリティ対策です。マルウェアの侵入を防いだり、不正なアクセスを検出したりしてセキュリティ違反を即座に報告します。
リモートデバイスから安全に企業ネットワークに接続するためにも、セキュリティが強化されたツールの導入が効果的です。
7. サーバー上のデータの暗号化
サーバー上で保管されるデータの暗号化は、データを保護するための基本です。万が一不正アクセスが発生した場合でも、情報が読み取られることを防ぎます。
とくに、顧客情報や財務情報などの機密データを扱う場合、暗号化はリスク管理の観点から見ても非常に重要です。暗号化技術を適切に選択し、実装すればデータの安全性を確保できます。
8. セキュリティガイドラインの策定
セキュリティガイドラインの策定と従業員への教育は、組織全体のセキュリティ意識を高めるために不可欠です。ガイドラインにはパスワードポリシーやデータ保護の方法、緊急時の対応方法などを記載しておく必要があります。
従業員がガイドラインを理解し、日常業務に適用すれば、セキュリティに関するトラブルの発生を大幅に減少させられます。
『Splashtop SOS』はセキュリティが強化されたリモートツール
『Splashtop SOS』は、高度なセキュリティを備えたリモートサポートアプリです。遠隔地からでも安全にデバイスの管理やトラブルシューティングが可能となります。
ここでは、Splashtop SOSの特徴を詳しく解説します。
デバイス認証と2段階認証
『Splashtop SOS』では、デバイス認証と2段階認証を組み合わせることで、リモートアクセスにおけるセキュリティのさらなる強化が可能です。
デバイス認証を使用すれば、管理者は事前に指定した端末からのみリモートアクセスを許可できます。未承認のデバイスからのアクセスが防止されるため、情報漏洩のリスクもありません。
さらに、2段階認証パスワード以外の認証手続きも必要となるため、セキュリティが大幅に向上します。
通信はSSL/TLSを採用
『Splashtop SOS』では、通信の安全性を保証するためにSSL/TLSプロトコルを採用しています。SSL/TLSはデータの暗号化により、送受信される情報の安全を確保する技術です。
導入すれば、外部からの不正アクセスやデータの傍受を防ぎ、遠隔サポート中の情報が保護されます。安全な通信を通じて、企業はリモートサポートを安心して行うことが可能です。
簡単な操作性と迅速な設定が可能
『Splashtop SOS』の大きな特徴として、操作性の良さと設定の迅速さが挙げられます。エンドユーザーはアプリをインストール後、直感的に操作できるため、説明書を熟読するといったトレーニングも必要ありません。
シンプルで直感的なセットアップは、技術的な知識が乏しいユーザーでも容易に活用できるため安心です。ユーザーが必要だと思う機能のみを覚えればよく、リモートサポートの効率も大幅に向上します。
リモートアクセスのセキュリティに関するよくある質問
最後に、リモートアクセスのセキュリティに関してよくある質問に回答します。
・リモートワーカーがセキュリティ面で注意する点は?
・リモートデスクトップのセキュリティリスクは?
リモートワーカーがセキュリティ面で注意する点は?
リモートワークを行ううえでは、不審なメールやUSBメモリなどの取り扱いに注意してください。
安全なリモートワーク環境を実現するためには、まず基本的なセキュリティ対策を講じることが重要です。OSやアプリケーションの修正プログラムを適用したり、強固なパスワードの設定と管理を行ったりしましょう。
リモートデスクトップのセキュリティリスクは?
リモートデスクトップとは、ネットワークを介して遠隔地のコンピュータに接続し、手元のPCやタブレットなどの端末でデスクトップ画面を操作する技術です。
リモートデスクトップの利用においては、ID・パスワードの流出やサイバー攻撃などのセキュリティリスクが存在します。ID・パスワードが第三者に流出すると、不正アクセスによる情報漏洩やデバイスの乗っ取りが発生するおそれがあるため注意しましょう。
また、サイバー攻撃によるマルウェア感染や、ランサムウェアによるデータの暗号化といった被害も考えられます。リスクを軽減するためには、多要素認証の導入やエンドポイントセキュリティの強化、VPN接続の実施が欠かせません。
リモートアクセスのセキュリティリスクを理解しよう
リモートアクセスには、ID・パスワードの流出、サイバー攻撃による情報の漏洩やデバイスの乗っ取りなど、さまざまなセキュリティリスクが伴います。リモートアクセスの安全性を確保するためには、リスクを理解して適切なセキュリティ対策を講じることが大切です。
強力なパスワードの設定や多要素認証、RDP接続の暗号化など、リモートアクセスのセキュリティを強化する方法は多岐にわたります。自社に合った対策を実施し、安全で快適なリモートワーク環境を構築しましょう。
高度なセキュリティが導入されたリモートサポートツールをお探しの場合は、ぜひ『Splashtop SOS』を試してみてください。