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若者(Z世代)の仕事の価値観・希望の働き方は?

若者(Z世代)の仕事の価値観・希望の働き方は?

1990年代中盤から2010年代中盤に生まれたデジタルネイティブ世代、通称Z世代。学生時代からオンラインに慣れ、情報収集はもっぱらインターネット。いつでも誰とでも繋がることができ、欲しいものはオンラインでポチる。そんな若者(Z世代)は「働く」をどうとらえているのでしょうか。おとな世代と違う彼らの仕事観・価値観から、これからの働き方と企業のあり方を考えてみたいと思います。

Z世代とは

「Z世代」とは、1990年代半ばから2010年初頭に生まれた若い世代を指します(細かい区分けには諸説あります)。

アメリカで1990年代半ばから2010年初頭の世代が「ジェネレーションZ」と呼ばれていたことが、「Z世代」の由来と言われています。

物心がつくころには、スマートフォンやタブレットに囲まれて生活していたため、デジタルネイティブとも呼ばれている点も特徴です。

若者(Z世代)の5つの特徴

Z世代と呼ばれる若者たちには、考え方や行動、価値観などに、以下のような特徴があると言われています。

・多様性を重視

・競争が苦手で、仲間を大切にする

・社会貢献への意欲が高い

・コスパよりタイパ

・現実主義

上記の特徴が若者(Z世代)の仕事の価値観に大きな影響を与えているようです。

多様性を重視

BIGLOBEが発表した「Z世代の意識調査」によると、全国の18歳~25歳の男女600人のうち80.7%が、自身の行動や考えについて「多様性は大切だと思う」と回答しました。背景としては、さまざまな人種やジェンダー、価値観を持つ人々が顕在化する中で彼らが受けてきた教育が「みんな違ってみんないい」「みんな違うことがあたりまえ」というもので、答えはひとつではないという価値観が浸透していることが挙げられます。(※1)

競争が苦手で、仲間を大切にする

さらに、同調査では、彼らが「人と競争するのが苦手」(71%)で、「周囲から浮かないようにしたい」(68.8%)ということも明らかになりました。「みんな平等」「助け合い」が尊重される傾向が強い世代でもありました。(※1)

社会貢献への意欲が高い

Z世代は子どものころから、地球温暖化、海洋汚染などの環境問題、そして少子高齢化による介護問題、東日本大震災などの自然災害などが身近にありました。そのためか、同調査で「社会に貢献できる仕事がしたい」(60.5%)、「世のため人のためになることをしたい」(59.5%)、「SDGsやソーシャルグッドに取り組む企業に好感を持つ」(55%)、「SDGsに配慮した商品を買いたいと思う」(53.7%)など、社会貢献が行動の基準となっていることがわかりました。(※1)

コスパよりタイパ

「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」によると、デジタルネイティブな彼らの特徴的な行動が明らかになりました。Z世代で動画配信系サブスクに登録している人の85%が、タイムパフォーマンスを重視すると回答し、そのための具体的な行動として、動画を見ながら他のことを同時にする「ながら見」や、「倍速再生」などが挙げられました。

その理由として、「自分が価値を感じるコトに、時間を割きたいから」(49.3%)と回答した人が最も多く、限られた時間を好きなものに集中したいと考えている傾向が明らかになりました。タイムパフォーマンスを重視するZ世代、コロナ禍のオンライン授業を倍速視聴で受けていたら、90分の座学に集中できなくなってしまったなど、SNSでも話題になりました。(※2)

現実主義

Z世代はまた、親がリーマン・ショックや不況で苦労しているのを見ながら育ちました。また、東日本大震災などを経験しました。金銭面や生活面では、これまでの世代よりは現実主義で、未来への過度な期待をしない保守的な一面もあるようです。

また、彼らはテレビや雑誌からのマス情報よりも、より身近に感じられるSNS上のインフルエンサーに影響されるようです。このことも、Z世代の現実主義を説明するに足る要因だと思われます。(※3)

若者(Z世代)の仕事の価値観「バリバリより楽しく柔軟に」

次に、Z世代の考え方の特徴を知った上で、次に彼らの仕事観と、そこから見えてくる彼らの求める仕事・職場環境、仕事に対する意識について考えていきます。

・バリバリよりマイペース。競争はしたくない

・リモートワークができる会社に魅力

・会社は雰囲気重視。楽しいが1番

・柔軟な働き方に関心があり、副業への関心も高い

若者(Z世代)との接し方を見直すヒントにもなると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

若者(Z世代)の仕事の価値観1:バリバリよりマイペース。競争はしたくない

Z世代の特徴として挙げられたのが、競争が苦手で、仲間を大切にするということ。親世代は営業成績や成果主義で競争ありきの働き方が少なくありませんでしたが、彼らは競争に興味はなく、残業のない会社でマイペースに働きたいようです。

アンケート調査でも、「仕事上の競争や優劣に興味がない」(65%)、「バリバリ働いて稼ぐよりマイペースに」(72.7%)、「残業の少ない会社で働きたい」(74.8%)と回答しています。(※1)(※4)

つまり、Z世代にはノルマや行きすぎた成果主義は敬遠される可能性があるということです。認めてあげよう、褒めてあげようと過度に表彰や発表の機会などを作っても、周りから浮いてしまうという理由で逆に嫌がられてしまうということもありそうです。

また、タイパ重視の価値観で効率重視のZ世代。とりあえず残業、とりあえずミーティングという発想は敬遠されるかもしれません。ミーティングを行う場合はその目的を明確にし、タイムマネジメントをきちんと行う(または行わせる)ことで、彼らにとってもパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。

若者(Z世代)の仕事の価値観2:リモートワークができる会社に魅力を感じる

Z世代の意識調査 第3弾によると、「リモートワークができる会社で働きたい」とするZ世代は67.5%でした。Z世代の社会人にとってはリモートワークが浸透してきたちょうど最中。コミュニケーションツールも使いこなします。また、同世代の学生にとっても、コロナ禍で働き方が変容するのを目の当たりにし、リモートワークにへの抵抗も少ない。SNSでのコミュニケーションに慣れている彼らにとっても、チャットなど即時性のあるツールを好むでしょう。(※4)

若者(Z世代)の仕事の価値観3:会社は雰囲気重視。楽しく働けることが大切

Z世代の若者は、雰囲気の良い環境で、楽しく働きたいと考えているようです。『企業の魅力と働き方/株式会社i-plug』によると、企業に魅力を感じる点の1位は「社内の雰囲気が良い」が75%で突出しています。(※5)

また、『2023年卒大学生就職意識調査/株式会社マイナビ』では、2023年卒業予定の就職観として「楽しく働きたい」が最多であると述べています。この項目は昨今やや減少傾向だったものの、「働き方改革関連法(2018年)」でワークライフバランス実現や非正規雇用労働者の保護などの取り組みや、コロナ禍の新しい働き方が影響してか、2018年ころより増加傾向にあることがわかります。(※6)

このことから、会社は、オンライン環境での働く雰囲気作り、良好な人間関係を築ける取り組みが必要であり、同時に、そのためのインフラを整えることが急務だと言えるかもしれません。また、この場合のコミュニケーションの方法も、対面での懇親会、あるいは飲みニケーションなどといった旧来の接し方や頻度は、Z世代の若者には受け入れられない可能性があることは想像に容易いでしょう。

Z世代との若者との接し方に困っている場合、良好な人間関係を築けているか、注意する必要があります。

若者(Z世代)の仕事の価値観4:柔軟な働き方に関心があり、副業への関心も高い

同調査によると、彼らは「正社員で同じ会社に長く勤めたい」(58.9%)と回答する一方、「フリーランスなど会社に勤めない働き方にも関心がある」(53.5%)、「副業もしたい、副業に関心がある」(64.5%)という考えもあることがわかりました。KDDI株式会社が行ったZ世代を中心とした512人へのオンライン調査でも、「フリーランスとしての働き方が理想の働き方1位」と回答した若者が43.7%でした。(※7)

このことから、Z世代は正社員としての安定を求めながらも、柔軟な働き方にも魅力を感じている様子が伺えます。不況や社会の変化に直面し続けたからこそ、キャリア形成にも関心が高いのかもしれません。会社としては、出世ではなく、成長の機会をいかに提供できるかも大切になります。社内キャリアアップに必要な条件を明確にするだけでなく、副業機会でパラレルキャリア支援などを打ち出すのもいいでしょう。

若者(Z世代)の特徴・価値観を生かせる職場/生かしきれない職場

では、Z世代にとって働きやすい会社、職場環境とはどのようなものなのでしょうか。職場によっては、若者の特徴や価値観・仕事観を生かせていないケースがあります。彼らをうまく生かせるケース、生かしきれないケースを、先に挙げたデータをもとに考察します。

若者(Z世代)のオンボーディングの成功/失敗

昨今の社会情勢などもあり、リモート環境で入社したZ世代社会人もいるでしょう。人間関係がまだ構築できてない中でのリモートワークではカジュアルなコミュニケーションが生まれにくく、ちょっとした質問や声掛けもしづらく、気持ちを汲んだり、察したりということが難しい場合もあるでしょう。その結果、彼らが望むような「楽しく働く」ということが叶わず、早期退職となるケースにつながることもあるようです。

リモートワークであっても、バーチャルで立ち話ができたり、アクティビティを楽しめるようなツールを導入したりするのもひとつの手段です。デジタルネイティブな彼らは、こちらが考える以上にバーチャルに適応し、次々と新しいアイデアを生んでくれるかもしれません。

若者(Z世代)が正社員のネガティブな側面を目の当たりに…?

マイペースに楽しく働きたいZ世代。マインドとして近いのは「好きな職種でパラレルキャリア」でしょう。そんな彼らにとって、成果主義の緊張感や、ジョブローテーションですぐに自分がやりたいことができないというストレスは大きいでしょう。正社員から業務委託に契約形態の変更を希望したり、フリーランスとして複数社の仕事をしながらスキルアップを目指したりという発想に繋がりかねません。

この際、会社として副業や専門知識やスキルを生かした社会貢献活動であるプロボノを認めたり、ジョブ型採用を率先して行えば、Z世代にとって、より能力を発揮しやすい環境を生み出せるかもしれません。

長文メールは仕事でも注意!?

Z世代はLINEなどのスピーディーかつショートメッセージに慣れています。むしろ、テキストを入力せずにスタンプだけ、返信も2、3文字の略語で済んでしまうことも。端的なコミュニケーションで、効率的に伝え合う努力も必要になるでしょう。

SNS運用やnote発信にZ世代の意見を取り入れて

新卒採用のSNS運用や、広報ブランディングのためのnote発信などは、ぜひSNSネイティブのZ世代新卒に任せてみましょう。これが思いの外成功し、会社・Z世代担当者・学生(応募者)の三方良しに繋がっている例は増えてきています。ある程度任せて好きなようにやらせてみる、このことが、彼らのスムーズなオンボーディングにもつながるようです。

若者(Z世代)の仕事の価値観を理解し、職場の「古い常識」のアップデートを

Z世代の仕事観に「それは、わがままでは?」と感じることもあるかもしれません。

しかし、違う価値観に出会うときこそ、アップデートのチャンスです。そこから、職場のダイバーシティやインクルージョンが進んでいくこともまた事実。古い価値観で凝り固まっていれば、このご時世、あっという間に取り残されてしまいます。

とはいえ、マインドチェンジだけではうまくいかないことも。Z世代が重視する「自分らしく柔軟に」「効率的に生産性高く」にこたえられるハード環境を少しずつでも整えていくことも重要かもしれません。IT活用やDX化などのインフラを彼ら目線で対応させていくことで、会社はもっと強くなるはずです。

出典

※1
Z世代の意識調査 第1弾/ビッグローブ株式会社(2022年2月8日)
※2
Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査/株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(2022年8月1日)
※3
Z世代ー未来を牽引する、新世代の特徴と傾向ー/株式会社SVPジャパン(2022年7月28日)
※4
Z世代の意識調査 第3弾/ビッグローブ株式会社(2022年2月24日)
※5
企業の魅力と働き方/株式会社i-plug
※6
2023年卒大学生就職意識調査/株式会社マイナビ
※7
Smart Workコラム/KDDI



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