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デジタルサイネージとスマホの連動によってできること|活用事例5選と課題を解説

デジタルサイネージとスマホの連動によってできること|活用事例5選と課題を解説

デジタルサイネージを一方的な情報発信ツールではなく、顧客が能動的に利用したくなるようなコンテンツを配信するツールとして活用したいケースもあるはずです。利用者がもっているスマホとデジタルサイネージを連動させることで、さまざまな体験をともなうコンテンツの配信が可能です。

本記事では、デジタルサイネージとスマホの連動によってできることと活用事例を紹介します。デジタルサイネージの活用の幅を広げ、顧客体験の向上を狙いましょう。

スマホと連動できるデジタルサイネージ

デジタルサイネージには以下3つの種類があり、ネットワークにつなげて使用するネットワーク型とインタラクティブ型は、スマホと双方向に連動できます。スタンドアローン型もQRコードを表示させることでスマホとの連動が可能ですが、スマホからのアプローチにとどまり、その場での双方向通信はできません。

デジタルサイネージとスマホの連動によってできること|活用事例5選と課題を解説

デジタルサイネージをスマホと連動させ、双方向に通信ができると、以下のアプローチが可能となります。

・デジタルサイネージからスマホに情報を送る

・スマホからデジタルサイネージを操作する

その結果、デジタルサイネージ単体よりも活用のバリエーションが広がるのです。

デジタルサイネージとスマホを連動させる方法

デジタルサイネージとスマホを連動させる方法には、以下の種類があります。

・Wi-Fi

・Bluetooth

・NFC(交通系ICカード類)

・可視光通信

・QRコード

総務省が設置したデジタルサイネージワーキンググループ(※)が平成27年12月に発表した「デジタルサイネージシステムの国内共通仕様(案)の概要」では、上記のうちWi-Fiを連動方法として推奨しています。Wi-Fiは、スマホのサポート率がもっとも高く、訪日外国人を含めさまざまな人が利用しやすいためです。

Wi-Fiを通じてデジタルサイネージとスマホを連動すると、次に紹介するような幅広い使い方ができるようになります。

※2020年の東京オリンピック開催に向けて、多言語に対応できるデジタルサイネージの普及推進を行うために設置されたワーキンググループ

デジタルサイネージとスマホの連動でできること

デジタルサイネージとスマホの連動でできることは以下のとおりです。

・スマホから表示させるコンテンツを操作できる

・スマホからコンテンツを更新・配信できる

・デジタルサイネージからスマホに情報を配信できる

・体験型コンテンツを配信できる

・リアルタイムな情報発信ができる

・エラー発生時にスマホから対処できる

使い方によっては、企業のマーケティング活動の幅が大きく広がります。デジタルサイネージを使った販促を検討されている方は、参考にしてください。

スマホから表示させるコンテンツを操作できる

スマホをリモコンのように使うことで、デジタルサイネージに表示させるコンテンツの選択や操作ができます。

たとえば、イベント会場にデジタルサイネージを設置し、自社のブースに来場客が訪れたタイミングで、顧客層に合ったコンテンツを表示させるというように、きめ細やかなアプローチが可能です。顧客ニーズにマッチした訴求を選択することで、自社の商品やサービスに興味をもってもらえる可能性が上がるでしょう。

広告をはじめとしたマーケティング活動だけではなく、イベントに合わせて会場を盛り上げるための装飾や演出として使うことも可能です。

スマホからコンテンツを更新・配信できる

スマホとデジタルサイネージを連動させることで、事前に用意したコンテンツの更新・修正やリアルタイムでの配信が可能です。

たとえば、事前に制作したコンテンツに不備があった場合、スマホの画像・動画編集アプリなどを活用し、その場でコンテンツを編集できます。その場で撮影した写真や動画を取り込むと、独自性の高いコンテンツに更新できるでしょう。

デジタルサイネージにSNSの自社アカウントによる投稿を表示させると、その場で投稿した内容もデジタルサイネージに反映されます。来場者のハッシュタグを使ったSNS投稿が表示されるように設定すれば、口コミを宣伝として活用可能です。

スマホとの連動によってデジタルサイネージにリアルタイム性を付与することで、活用の幅が広がります。

デジタルサイネージからスマホに情報を配信できる

スマホからだけではなく、デジタルサイネージからスマホに情報を配信することも可能です。

たとえば、デジタルサイネージに表示されているQRコードを読み込むと、クーポンや整理券を獲得できるといった活用ができます。利用者の次の行動を促すアプローチは、自社の商品やサービスの販促につながるでしょう。

ほかにも、デジタルサイネージに表示した店舗内マップの情報をスマホに表示させる使い方も見られます。

このように、利用者にとってメリットが大きいアプローチができれば、デジタルサイネージによるマーケティング活動の効果も高まるはずです。

体験型コンテンツを配信できる

広告を表示させるイメージが強いデジタルサイネージですが、スマホと連動させることで、体験型コンテンツを配信できるようになります。

たとえば、チームラボ株式会社が提供するスケッチピストンというデジタルサイネージは、指でなぞった部分が線として表示されたり、さまざまなスタンプを表示できたりと、その場でお絵描きを楽しめる体験型コンテンツです。描かれた絵は音と連動しており、音楽を奏でながらお絵描きを楽しめるという新たな体験を提供しています。

マーケティング活動だけではなく、新たなサービスや価値の提供にデジタルサイネージを活用できるのです。

リアルタイムに情報発信ができる

事前に制作したコンテンツだけではなく、リアルタイムに情報発信ができるため、以下のような活用が可能です。

活用場面活用方法
公共施設災害をはじめとする緊急事態の際、速報や対応方法を流す
店舗店舗内の混雑状況を周知する
営業所内各従業員の一日のスケジュールを表示する
病院待合時間を表示する

スマホとの連動により、デジタルサイネージの情報をスマホから確認できます。たとえば、営業所内でデジタルサイネージに表示されている従業員のスケジュールを外出先から確認し、緊急対応ができる従業員を選んで依頼するといった使い方が可能です。

リアルタイムに情報発信を行うことで施設や店舗、病院の利用をスムーズにするほか、企業内の業務効率化にもつながるでしょう。

エラー発生時にスマホからでも対処できる

デジタルサイネージとスマホを連動させると、デジタルサイネージ側にエラーが発生した際、スマホからでも遠隔操作で対処できます。

広告を表示させるのが主な使い方だった従来のスタンドアローン型デジタルサイネージは、エラーが発生すると技術者が現地に足を運んで対処する必要がありました。ネットワーク環境が確保されている前提ではありますが、スマホとの連動によって、従来の方法で対処が完了するまでに発生していた時間や人件費などのコストを削減可能です。

現場の人間では対処できなかったエラーにも、遠隔地の技術者が対応できるようになるため、問題をスムーズに解決できるでしょう。

デジタルサイネージとスマホの連動によってできること|活用事例5選と課題を解説

デジタルサイネージとスマホを連動させた活用事例5選

デジタルサイネージとスマホを連動させた活用事例を5つ紹介します。

・事例1.花火を操作して顧客体験を向上|東急電鉄株式会社

・事例2.スマホ連動で口コミを表示|グランフロント大阪

・事例3.カウントダウンQRコードの実証実験|名古屋鉄道株式会社

・事例4.SNS投稿をサイネージに表示|川崎水族館

・事例5.フロアマップをスマホで表示|ボールドライト株式会社

デジタルサイネージの新たな活用方法を摸索されている方は、参考にしてください。

事例1.花火を操作して顧客体験を向上|東急電鉄株式会社

2013年時点で、デジタルサイネージとスマホを連動させ、体験型コンテンツを配信した事例があります。

東急電鉄株式会社と渋谷道玄坂商店街振興組合は、渋谷の大型デジタルサイネージであるQ'S EYE(キューズ アイ)を活用してデジタル花火大会を実施しました。当時、Q'S EYEがリニューアルされ、デジタルサイネージとスマホの双方向通信が可能となったことを受けて開催されたイベントです。

スマホから専用サイトにアクセスし、画面をなぞると、デジタルサイネージに打ち上げ花火を上げられる仕組みです。このイベントでは、3,900人超の参加者が8万6,000発の花火を打ち上げ、大きな盛り上がりを見せました。

参考:日本初!屋外大型ビジョンにスマートフォンで打ち上げるデジタル花火大会を開催! 渋谷発都市型エンターテインメント「QʼS EYE渋谷夏祭り」を開催します |東急電鉄株式(旧:東京急行電鉄株式会社)

事例2.スマホ連動で口コミを表示|グランフロント大阪

一般社団法人グランフロント大阪TMOは、2013年に実施した「参加型まちづくり」に向けた取り組みの一環として、デジタルサイネージとスマホを連動させ、口コミを表示させるアプローチを行いました。

専用のスマホアプリから投稿したショップや商品の口コミを、タッチパネル式のコンパスタッチというデジタルサイネージに表示させることで、来場者に情報を伝達する仕組みを活用しました。

2013年当時、先進的な取り組みとして注目が集まり、現在でもデジタルサイネージとスマホ連動の活用事例として広く知られています。

参考:グランフロント大阪「参加型のまちづくり」に向けた取組み概要発表|阪急電鉄株式会社

事例3.カウントダウンQRコードの実証実験|名古屋鉄道株式会社

最近の事例では、2024年1月に名古屋鉄道株式会社が実施したデジタルサイネージ分析の実証実験があります。

この実証実験では、デジタルサイネージにAIと連動したカメラを取りつけ、デジタルサイネージの前を通った人の数や広告を見た人の数、それぞれの属性をAIで推定し統計をとったうえで、広告効果を検証しました。そのなかで、活用されたのがカウントダウンQRコードです。カウントダウンQRコードを利用者が読み込んだあと、実際に店舗でクーポンを利用するかどうかを追跡して調査できます。

カウントダウンQRコードは、上限発行数を設けられるため、クーポンに希少性をもたせることが可能です。その結果、クーポン利用に対する期待値が高まり、人流を促進できる点も魅力です。

参考:AIデジタルサイネージを活用した実証実験を実施します|名古屋鉄道株式会社

事例4.SNS投稿をサイネージに表示|川崎水族館

川崎水族館では、デジタルサイネージとスマホ連動によるSNSの活用によって、館内イベント「カワスイフォトコンテスト」を盛り上げる取り組みを実施しました。

本イベントでは、利用者がSNSで特定のハッシュタグやキーワードをつけた投稿を行うと、館内のデジタルサイネージに表示される仕組みを活用しました。投稿した作品はコンテスト作品として扱われ、受賞者には記念品が贈呈されています。

デジタルサイネージを活用し、利用者の顧客体験を向上させることに成功した事例といえるでしょう。

参考:【終了しました】【カワスイフォトコン2021】受賞者決定!|川崎水族館

事例5.フロアマップをスマホで表示|ボールドライト株式会社

ボールドライト株式会社は、デジタルサイネージサービスを提供する株式会社Will Smartと共同し、デジタルサイネージとスマホを連動させたデジタルフロアマップの実証実験を行いました。

会場となった株式会社三越伊勢丹新宿店の催事場では、イベントに応じてさまざまな店舗が出店します。通常は取り扱いのない店舗も参加するため、三越伊勢丹に足を運ぶ機会がなかった新規顧客を取り込める可能性があります。

本実証実験では、新規顧客がスムーズに店内を散策できるよう、デジタルサイネージにマップを表示するとともに、利用者のスマホに表示できるようQRコードを掲載しました。さらに、店舗情報や特典情報を閲覧できるようにし、利用を促進したのです。

その結果、スマホからデジタルマップが閲覧された回数は、デジタルサイネージの閲覧数の約3.7倍となりました。催事場におけるデジタルサイネージとスマホ連動は、利用者にとって有益な仕組みであるといえます。

参考:伊勢丹新宿店にて、商業施設DX「プラチナモール」とデジタルサイネージを連携する実証実験を実施

デジタルサイネージとスマホ連動の将来と課題

デジタルサイネージとスマホ連動の事例は、2013年ごろからあります。また、2015年には総務省主催の「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」で、2020年の東京オリンピックに向けて、デジタルサイネージの機能拡大について盛り込まれるほど注目を集めていました。

最近では技術が進化しており、利用者専用の情報をデジタルサイネージで表示させる取り組みが見られます。2023年に米デルタ航空がデトロイト空港に設置したデジタルサイネージは、設置されたゲートで搭乗券をスキャンするか、「Fly Deltaアプリ」を使って顔認証をすることで、自分の予約情報や搭乗ゲートの表示が可能です。

さらに、AIの活用によって、デジタルサイネージはより利用者にマッチした情報の投影を実現します。たとえば、株式会社NTTドコモ九州支社は、AIを搭載したカメラを通じて利用者の属性を判別し、利用者にマッチしたイベントや施設情報を提供する実証実験を行いました。

こうした流れを見ると、総務省の懇談会のなかでも示されていたように、デジタルサイネージとスマホ連動において、利用者にマッチした情報を表示させるアプローチが広まっていることがわかります。

ただし、米デルタ航空の事例のように、個人向けの情報をデジタルサイネージに表示させる場合は、情報漏洩対策が必須です。より強固なセキュリティのもと、利用者が安心してデジタルサイネージとスマホ連動によるアプローチを享受できる仕組みが求められるでしょう。たとえば、通信の暗号化や認証システムの強化、定期的なセキュリティチェックを行うことが重要です。また、デジタルサイネージに表示される情報が個人情報を含む場合は、利用者の同意を得ることが必須でしょう。

スマホからデジタルサイネージの保守・管理ができるSplashtop Remote Supportとは

スプラッシュトップ株式会社が提供する『Splashtop Remote Support(SRS)』は、デジタルサイネージとスマホを連動させ、保守・管理をサポートするツールです。

SRSを導入しておくことで、デジタルサイネージにエラーが起こった際、現場に駆けつけることなく遠隔地から対処できます。エラー対処だけではなく、デジタルサイネージの再起動や修正バッジファイルの送信もリモートで簡単に行えます。

大きな特徴は、スマホやタブレット、パソコンなど、あらゆるネットワーク通信機器から操作できる点です。通常時は目の前にあるパソコンから、緊急時は外出先でスマホから、というようにいつでもどこからでもデジタルサイネージにアクセスできます。

通信はSSL/TLSを採用しており、SSLのなかでもよりセキュアなAES-256ビットでデータが保護されています。ユーザーIDとパスワードは常に暗号化されるため、堅牢なセキュリティのもと安心して利用可能です。

デジタルサイネージをすでに導入しており、保守・管理にかかる手間やコストを削減したい場合は、ぜひSRSの利用をご検討ください。

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まとめ:デジタルサイネージとスマホを連動させて新たな顧客体験を提供しよう

デジタルサイネージとスマホを連動させると、従来のスタンドアローン型で行っていた一方通行の広告表示から脱却し、新たな体験を利用者に提供できます。最近では、利用者に合わせた情報をデジタルサイネージに表示させる取り組みが注目されており、活用の幅がさらに広がっています。

より効果的なマーケティング活動の実施や、新たなサービス提供のためにデジタルサイネージを利用する際は、適切な保守・管理が必要になることも念頭に置いておかなければなりません。遠隔サポートが難しいスタンドアローン型は、保守・管理の手間とコストがかかる点にも注意が必要です。

Splashtop Remote Support(SRS)』は、デジタルサイネージの保守・管理をサポートできるツールです。アプリを導入するだけで、スマホやタブレット、パソコンなどのあらゆるネットワーク通信機器からデジタルサイネージにアクセスし、遠隔操作できるようになります。デジタルサイネージの保守・管理を効率化したい場合は、ぜひお問い合わせください。

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