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ARを研修に活用した事例3選|メリットと実践におけるポイントも解説

ARを研修に活用した事例3選|メリットと実践におけるポイントも解説

ARを活用すると、立体的なデジタル情報を盛り込んだ体験的な研修が可能です。その結果、これまではテキストや動画で学ぶしかなかった危険な場所における作業や、ベテランの感覚頼りだった属人的な業務に関するスキルを身につけられるでしょう。

ただし、はじめてARを研修に活用する場合は、綿密な下準備が必要となります。

本記事では、AR研修を行うために知識として知っておきたい活用事例やポイントを解説します。AR研修を実施して効率的かつ効果的な研修を実現しましょう。

ARを活用した研修とは

AR(Augmented Reality:拡張現実)は、製品やサービスに活用するだけではなく、社内の研修にも取り入れられています。

ARとは、現実世界にデジタルデータを付加することで、現実空間を仮想的に拡張する技術です。たとえば、AR技術を活用したスマートフォンアプリを起動し、カメラを通して現実世界を見ると、本来は存在しない家具のデジタルデータが表示されます。

研修にARを応用すれば、仮想現実にマニュアルや指示を表示させながら作業したり、熟練者の手順をトレースしたうえで追体験できたりと、技術的なトレーニングやシミュレーションを行えます。テキストや動画よりも体験的に学べるため、高い研修効果が期待できるのです。

とくに、座学だけでは身につきにくい技術や、危険をともなう現場で直接指導が必要な業務などの研修に役立ちます。

ARを研修に活用する3つのメリット

ARを研修に活用することで、以下3つのメリットを得られます。

1.安全性を確保したうえで現場を再現できる

2.立体的なコンテンツで直感的理解がしやすくなる

3.効率的なレクチャーによって定着度向上を見込める

どのようなメリットがあるのかを理解したうえで、ARを活用した研修プログラムを構築すると、より高い学習効果が期待できます。

1.安全性を確保したうえで現場を再現できる

ARを活用すると、安全性を確保したうえで現場を再現できるため、安全な場所で実践的技術やノウハウを伝えられます。

足場が悪い場所や高所での作業をともなう業種、危険性の高い道具や材料を扱う現場では、実際の作業につながる技術やノウハウの伝達が座学による研修ではスムーズに行えません。実践的な技術を伝達するために、現場における作業のなかでレクチャーすることも多く、その場で疑問を解決する時間がなかったり、熟練者の作業が停滞したりといった課題が見られます。

ARを活用すると、現場を再現した仮想空間を目の前に生み出し、実際に手を動かしながら技術やノウハウを学ぶことが可能です。安全性が確保されているため、研修の受講者は学習内容の習得に集中できます。

2.立体的なコンテンツで直感的理解がしやすくなる

従来の研修では難しかった直感的理解を促し、高い学習効果が期待できることもARを活用するメリットです。

従来は、テキストや動画によるレクチャーが中心で、機械や機器の構造や実際の操作方法を理解しにくい点が課題でした。

ARを活用すれば、実物がなくても立体的なコンテンツとして目の前に表示できるため、座学の延長上で実践的な学習が可能です。仮想現実に操作手順や指示を投影することでテキスト・資料と手元の視点移動がなくなり、操作に集中できるでしょう。

3.効率的なレクチャーによって定着度向上を見込める

ARを活用すると、ARデバイス着用者の視点を共有できるため、効率的なレクチャーによる定着度向上を見込めます。

たとえば、新人が作業している視点を熟練者に共有し、リアルタイムで指示やアドバイスを行えます。その結果、作業品質を担保しながら技術の習得を目指せるのです。

従来のシャドーイングをはじめとする研修方法では、指導のために熟練者の作業効率が低下し、業務に影響を及ぼすこともありました。ARでは遠隔指示や1対複数人のレクチャーも可能であるため、業務に支障をきたすことなく効率的に指導を行えます。

ARを活用した研修の事例3選

ARを活用した研修はすでに実施されており、以下のような事例があります。

・事例1.溶接トレーニングにARデバイスを採用

・事例2.ARデバイスで締固めの工程をトレーニング

・事例3.ARで土木構造物の維持管理技能を疑似体験

具体的な事例は、ARを活用した研修のプログラムを構築する際のヒントになるため、参考にしてください。

事例1.溶接トレーニングにARデバイスを採用

スペインのIT企業であるSeabery社が開発した『SOLDAMATIC』は、ARを活用した溶接訓練シミュレーターです。ヘッドマウントディスプレイを装着すると、練習用の機器が実際に溶接を行う対象のように見えます。練習用溶接トーチからは火花を模したCGが散り、リアリティのあるシミュレーション環境のなかで溶接練習が可能です。

溶接に使用する金属や母材といった消耗品を消費せず、安全な環境で思う存分訓練できる魅力があります。トレーニング後はスコアが表示されるため、スキルレベルの可視化によるモチベーション向上や指導の効率化にもつながるでしょう。

日本はもちろん、世界各国の溶接現場で採用されているテクノロジーです。

参考:Soldamatic IE|Seabery社

事例2.ARデバイスで締固めの工程をトレーニング

株式会社イクシスは、コンクリート打設時の締固め管理をサポートする『AR締固め管理システム』を開発しました。システムを活用することで、座学や研修による習得が難しかった締固め作業の品質標準化とともに、新人への技術伝承が可能です。

コンクリート構造物の建設の際、強度や品質を高めるため、まだ固まっていない生コンクリートをバイブレータで振動させて、内部に残っている空気を抜く「締固め」という作業があります。

従来の作業では、コンクリートの内部状況が見えないため、熟練者の経験や感覚に頼って作業の進捗を判断するケースがありました。AR締固め管理システムを活用すると、ARによってバイブレータで作業した場所と振動時間をタブレットで確認できます。

ARによって、締固め作業を経験・感覚に頼らずにできるようにすることで、新人への技術伝承を容易にし、研修コストを抑制します。

参考:AR締固め管理システム|株式会社イクシス

事例3.ARで土木構造物の維持管理作業を疑似体験

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)は、トンネルをはじめとする土木構造物の検査業務について、2017年より教育用のARアプリを活用しています。

模擬トンネル内で、ARアプリを起動したタブレットをかざすと、事前に設置されたARマーカーによって、画面上にトンネル内のひび割れや水漏れといった変状を再現できます。現場ですでに活用されているアプリと同様の仕様であるため、研修のなかで実際の検査の手順を体験でき、効率的かつ効果的な学習が可能です。

参考:AR(拡張現実)技術を活用した土木構造物の維持管理教育用アプリの使用を開始しました|東京地下鉄株式会社

ARを活用した研修の3つのタイプ

ARを活用した研修には、以下の3つのタイプがあります。

タイプメリットデメリット
ハードウェアタイプ両手が空くため操作系の作業に向いている導入コストが高くなるケースがある
ソフトウェアタイプ現場に持ち運べるため、実際の作業のなかで活用できるハードウェアタイプに比べてリアリティや操作性が劣る
ハイブリッドタイプ遠隔地から的確な指示やアドバイスができるハードウェアタイプとソフトウェアタイプよりも導入コストが高い

タイプごとにメリット・デメリットが異なるため、自社の目的や作業に合ったものを選びましょう。

1.ハードウェアタイプ

ハードウェアタイプは、ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスなどのARデバイスを装着して行う研修方法です。ARデバイスを通して見る世界には、デジタル情報が付加されており、リアリティのあるシミュレーションやトレーニングができます。

両手が空いた状態で使用できるため、操作系の作業トレーニングに向いています。ただし、高価なARデバイスもあり、導入コストが高くなるケースがある点に注意が必要です。

2.ソフトウェアタイプ

ソフトウェアタイプは、タブレットやスマートフォンとARアプリを活用して行う研修方法です。

ハードウェアタイプとは異なり、両手が塞がってしまうため、操作性は高くありません。また、タブレットを構えた状態でしか仮想現実を視認できないことから、リアリティや没入感もやや劣ります。

既存のデバイスを活用できるうえ、安価であるため新規導入も容易な点は魅力です。持ち運びやすい特徴もあり、現場で作業しながらレクチャーするのに向いています。

3.ハイブリッドタイプ

ハイブリッドタイプは、ハードウェアタイプで使用するARデバイスと、ソフトウェアタイプで使用するアプリやソフトを活用する研修方法です。ARデバイスを装着する人と指導する人が離れた場所にいながら、研修を行える特徴があります。

たとえば、新人が現場でヘッドマウントディスプレイを装着した状態で作業し、熟練者は事務所で専用のアプリやソフトを使い、仮想現実に指示を送ることが可能です。仮想現実上で、見るべき場所にマーカーを置いたり実際の動きをやって見せたりと、電話やメールではできない的確な指示を出せるため、作業品質の向上を見込めます。

ただし、ハードウェアタイプ・ソフトウェアタイプよりも導入コストが高くなるため、費用対効果をシミュレーションする必要があります。

ARを活用した研修プログラムの構築手順

ARを活用した研修プログラムを構築する際は、大まかに以下の手順に沿って進めます。

・研修の目的・目標を明確化する

・パイロットプログラムの範囲・予算・内容を決める

・パイロットプログラムに合ったソフトウェア・ハードウェアを選択する

・パイロットプログラムを実行・調整する

・プログラムを全体化する

全体の流れを把握し、自社に合ったデバイスやアプリ・ソフトを導入しましょう。

研修の目的・目標を明確化する

まずは、研修の目的・目標を明確化します。研修の受講者に身につけてもらいたい知識や技術を整理し、ARの導入が適しているかどうかを検討します。このとき、自社が求めるARによる研修をすでに実践している企業がないか、活用事例を探して参考にするとよいでしょう。

社内での判断が難しい場合は、専門的な知識をもった外部人材に頼る方法もあります。

パイロットプログラムの範囲・予算・内容を決める

研修の目的・目標が明確化されたら、パイロットプログラムを構築します。パイロットプログラムの構築には、専門的な知見をもつ人材で構成するITサポートチームが必要です。

パイロットプログラムは、対象者と業務範囲を絞って構築することで、本格的な運用が可能かどうかを判断できます。対象者は、会社の方針や業務を理解し、協力的である人材が適切です。

導入する研修タイプやデバイスによっても異なりますが、研修をスムーズに進められる通信環境が整っていることも大切です。整備からはじめる場合は、環境構築までの時間と予算も含めてプログラムの構築を検討しましょう。

パイロットプログラムに合ったソフトウェア・ハードウェアを選択する

パイロットプログラムの骨組みが決まったら、適切なARデバイスとアプリ・ソフトを選択します。一からシステムを構築することは、莫大な費用と時間が必要となるため、現実的ではありません。まずは、既存のサービスやツールから、自社のニーズに合ったものを探しましょう。

パイロットプログラムを実行・調整する

導入するソフトウェアタイプ・ハードウェアが決まり、パイロットプログラムが完成したら、実際に研修を行ってみましょう。その後、研修を受けた対象者からフィードバックをもらい、評価を行います。

通常の研修と同様、実践後に改善を繰り返すことで、学習効率や効果の高い研修プログラムを構築できます。

AR研修導入後に業務の生産性がどのように変わったかというように、いくつか評価指標を設けておくと評価がしやすくなるはずです。できるだけ定量的に測定できるように設定し、評価をもとにパイロットプログラムを調整して本格運用を目指しましょう。

プログラムを全体化する

パイロットプログラムの調整を繰り返し、十分な効果を発揮できると確認できたら、本格運用をはじめます。研修の実施後は毎回フィードバックをもとに評価、改善を繰り返し、最適な形に整えていきましょう。

ARを研修に活用した事例3選|メリットと実践におけるポイントも解説

ARを研修に活用する際のポイント

ARを研修に活用する際は、以下の3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

・自社に近い活用事例を集める

・担当者の選出と教育を行う

・自社に合った適切な方法とツールを選ぶ

適切な準備を整えてからAR研修のプログラムを構築することで、大きな失敗を避けながらARを導入できます。

自社に近い活用事例を集める

パイロットプログラムを構築する前に、自社のケースに近い活用事例を集め、どのようなARデバイスやアプリ・ソフトを活用しているかを整理します。事例と同じ運用ができる場合は、予算さえ調整できれば、すぐに導入できるでしょう。

自社に合ったソフト・アプリを一から開発すると、莫大な予算と時間が必要となるため、事例からブラッシュアップする形でパイロットプログラムのたたき台を構築します。

担当者の選出と教育を行う

ARを活用した研修を行う際は、プロジェクトを進める担当者が必要です。ARやデバイス、環境など、専門的な知見がある人物を担当者として選出するのが望ましいでしょう。

社内に適した人材がいない場合は、専門家を講師として招き、人材を育成しながら進める方法もあります。担当者がARデバイスやソフト・アプリの操作に慣れていると、その後の研修もスムーズに進められるはずです。

自社に合った適切な方法とツールを選ぶ

ARを研修で活用する際は、自社に合った適切な方法とツールを選ぶことが重要です。

たとえば、安全な場所で繰り返し練習しながら溶接技術を習得したいケースでは、ハードウェアタイプやハイブリッドタイプのように、両手を空けて溶接作業できるツールが適しています。

ARデバイスやソフト・アプリだけではなく、ネットワークや音声による通信環境など、すべてのツール・環境について最適なものを選ぶためには、専門家の知見が必要です。ARの専門家の助言を受けながら、最適な選択ができるとよいでしょう。

ARを活用した研修におすすめのツール

スプラッシュトップ株式会社が提供する『Splashtop AR』は、タブレットやスマートフォンにアプリをインストールするだけで利用できるARツールです。端末のカメラ映像を遠隔でパソコンや別の端末に映せるため、事務所にいる熟練者が現場の新人に作業指示やアドバイスをする形で教育・研修を行えます。

Splashtop ARは、映像上に場所を指し示す線や矢印を描きこむことが可能です。注視すべき箇所がひと目でわかることから、電話やメールによる指導よりも理解しやすく、作業品質の向上や技術習得の効率化が期待できます。

高価なARデバイスを導入せずに活用できる点も大きな魅力です。

Splashtop ARを自社が導入したいAR研修に活用できるかどうかを知りたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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まとめ:ARを活用して効率的・効果的な研修を実施しよう

研修や教育にARを活用すると、目の前の仮想現実に立体的なデジタルデータを表示できるため、テキストや動画などの平面では理解しにくかった立体的構造を理解しやすくなります。また、現場を再現しながら作業をシミュレーションでき、危険な現場での作業を安全に学ぶことが可能です。

経験や感覚に頼っていた属人的業務のなかには、ARによって定量化したうえで伝達できるものもあり、効率的かつ効果的な人材育成を実現できます。

スプラッシュトップ株式会社が提供する『Splashtop AR』は、お手持ちのタブレットやスマートフォンにアプリをインストールすることで、ARを導入できるツールです。一対複数の研修を効率的に行いたい場合や、現場の映像を見ながら的確に教育したい場合に適しています。

まずは無料トライアルでSplashtop ARをお試しいただき、活用イメージを膨らませてみてください。

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