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【地域課題解決型ワーケーションドキュメント】和歌山県の農家の課題に挑んだ6社6名の32時間

【地域課題解決型ワーケーションドキュメント】和歌山県の農家の課題に挑んだ6社6名の32時間

2023年6月、スプラッシュトップは、株式会社南紀白浜エアポート、和歌山県及び白浜町と連携し「和歌山県地域課題解決型ワーケーションプロジェクト」を開催しました。

このプロジェクトは、「場所にとらわれず、いつでも、どこでも働くことができる新しい働き方」を提案するスプラッシュトップと、ワーケーション聖地と言われ、多くのIT企業のサテライトオフィスがある和歌山県白浜町との新しいチャレンジ。記念すべき初回は「農業DX」による課題解決がテーマ。地方での事業展開や新規事業の創出を考える企業6社6名が参加しました。

地域課題解決型ワーケーションとは何か

地域課題解決型ワーケーションとは、余暇目的ではなく、その地域の関係者との交流を通じて地域課題を解決していくワーケーションスタイルです。課題解決のためのアイデア出しや実際に取り組んだりすることで、自社の人材育成や企業のSDGs取り組み実績としても注目されています。

地域課題でよくあるのは、「空き家活用」「伝統産業の復興」「特産物・農作物などの付加価値を高める」「地域の魅力を高める」のようなものです。これらの課題をなんとか解決したい地域関係者と、数日間または数週間に渡って交流し、解決の道しるべを示すようなプログラムが増えました。

今回スプラッシュトップがタッグを組んだのは、白浜市と、しらはま農家園主・遠藤賢嗣さん。スプラッシュトップが得意とするDXの分野において、東京や関西から集まった「農業DX」の知見があるメンバーで、収益性向上やアイデア創出を行います。

先鋭メンバーが集結

「和歌山県地域課題解決型ワーケーションプロジェクト」の参加者をインターネットで募集した結果、以下の6社6名がメンバー入りすることに決定しました。

住友ファーマ株式会社 駒野隆志さん

富士通株式会社 CCD事業統括部プロモーション推進部 丸子正道さん

ジェイアール東日本企画 柳原良介さん

株式会社リコー デジタル戦略部デジタル戦略統括センター 藤山遼太郎さん

Nakatsu Design Works 加藤歩弓さん

(残り1名はお名前を伏せての参加となりました)

南紀白浜空港で名刺を交換し、一行は白浜町にあるサテライトオフィスへ。いよいよ32時間に渡る熱いワーケーションプロジェクトが始まります。

しらはま農家園主・遠藤賢嗣さんの抱える課題解決・プロジェクトスタート

しらはま農家園

2019年より、白浜町でレタス・トウモロコシ・ソラマメなどの野菜と、ケイトウ・ストックなどの花の栽培を開始。生き物観察や自然観察を盛り込んだ農業体験の受け入れにも精力的に取り組む。

https://ws-farmer.jp/

しらはま農家園の抱える課題

生産

・失敗も多く、作業時間(人件費)の増加が発生する。

・正社員がおらず実質1人作業である。

製造

・委託手数料がかかり利益が出にくい。

・販売数が増えづらい。

しらはま農家園主・遠藤賢嗣さんの抱える課題の視察も兼ねて、一行はとうもろこし畑へ。ここからは密着ドキュメントでお届けしていきます。

1日目

13:30〜15:00 とうもろこし収穫体験

一行は白浜農家園のとうもろこし畑へ。ちょうど収穫期で、収穫を体験させてもらうことに。

プレゼンテーション①

もぎたてのとうもろこしをいただきながら、一番美味しい状態は3日間ほどしか持たないこと、少しでも虫がついていると出荷できないこと、他の農作物と比べて肥料が必要なこと、また、補助金を利用して農業体験など新しいビジネスを考えていることなどを聞きました。

安定した作物、商品を提供する、「あそこのあれが食べたい!」と言われるためには、やはり新しい技術が絶対的に必要ですね。(住友ファーマ/駒野さん)

収穫体験となるとターゲットは親子連れがメインですよね。(Nakatsu Design Works/加藤さん)

15:00〜18:00 自由時間(テレワーク、プレゼン準備など)

コワーキングスペースでそれぞれ自由時間。自分の仕事を進めたり、今日の体験を振り返ったりして過ごしました。

プレゼンテーション②

移動と農業体験でハードな1日でしたが、機嫌はいいです(笑)。ここで仕事のスイッチが入るのかをまずは探っているところです。(リコー/藤山さん)

18:00〜 地域事業者との懇親会

きれいな海をバックに地元の美味しい料理をいただきながら、関係を深めていきます。課題解決に向けて全員が同じ方向を向いていることを確認しました。

プレゼンテーション③

1日目を終え、地域事業者との懇親会が開かれました。実際に現地で感じたことを伺いました。

「楽しいことをしたい」という遠藤さんの誠実さを感じました。彼がやれることを真剣に考えたいなと思いました。(ジェイアール東日本企画/柳原さん)

助けなきゃいけないと思いました。自分の中でやりたいことがたくさんありすぎて、それを全部やると本人が潰れてしまいます。目線を変えてみて、本当に遠藤さんがやりたいことは何かというところから課題解決をしていこう、メンバー同士でそんな話をしました。(富士通/丸子さん)

地域課題解決型ワーケーションは今回で5、6回目なんですが、今回のメンバーはすごいですね!各々の提案というよりは、みんなで一つの道を導こうという話が出て、わくわくしますね、和歌山、白浜のポテンシャルを感じています。(住友ファーマ/駒野さん)

そもそも自分の課題を誰かに話す機会がなかったので、しかも各方面のプロフェッショナルがそれぞれの角度から見てくれて、本当にありがたいと思っています。短時間ですが出会ってよかった、今回で終わることなく、長い付き合いになったらいいなと思います。(しらはま農家園/遠藤さん)

2日目

9:00〜 自由時間(プレゼン準備など)

参加者全員でアイデアを出し合いながら、プレゼン内容を一つにまとめていくことにしました。

プレゼンテーション④

リブランディングのためにきちんとオウンドメディアを構築しましょう。だったらSNSですよね。白浜は白浜のいいところを伝え続け、そこの農作物は美味しいよ、というストリーで。(ジェイアール東日本企画/柳原さん)


プレゼンテーション⑤

昨日初めて出会ったとは思えないほど、同じ思いで動く参加者たち。事前にオンラインで2回ミーティングをしていたのも話を進めやすかったようです。最終プレゼンをまとめていざ遠藤さんに提案です。

13:00〜 課題解決プレゼンテーション

それぞれの強み、アイデアを活かしたプレゼンが行われました。農業DXがテーマということで、SNSの活用やデジタル予約・決済の導入、また、経営面では人材育成やノウハウのアーカイブ化などの提案がありました。どの案も遠藤さんと地域課題に寄り添ったものでした。

プレゼンテーション⑦

プレゼンテーション⑧

プレゼンテーション⑩

プレゼンテーション⑪

プレゼンテーション⑫

これを受けて、和歌山県の同事業担当者からもこのような反応がありました。

「参加者の方が実際に地域に入り込むことで、その地域の課題が自分ごとになるということにとても意義があると思いました。」

「行政はDX化が遅い部分がありますが、遠藤さんと一緒になって今後進めていけたらと思います。」

最後には、遠藤さんからも感謝の言葉がありました。

素直に、本当に、めちゃくちゃうれしかったです。こんなにいろんな提案をいただいて……。今まで自分の課題や悩みを話す機会がなかったんですが、これだけの人がいろんな角度から話を聞いてくださって、いろんなご提案や分析、アイデアをいただけてすごくうれしかったです。みなさんのことが大好きになりました。できればこれからも末長くおつきあいをしていただきたいです。1人ではできないということを学びました。ですから、今回の提案も、みんなで楽しみながら進めていければと思います。

プレゼンテーション⑬

参加メンバーの感想

自分があたりまえだと思っていることを伝えても、それぞれの関心度合いが違うので、それぞれの意見がありました。そのようなフィードバックがもらえたことが自分の成長に繋がったように思います。(Aさん)

メンバーが良かったなと思いました。単にリモートで仕事をしにきたというのではなく、地域の人たちと交流し、地域課題の解決に向けて仕事に取り組むという経験は、新鮮で楽しかったですね。(富士通/丸子さん)

遠藤さんは大変だなと思いましたが、ぜひ地域、行政と手を取り合いながらがんばってほしいです。(ジェイアール東日本企画/柳原さん)

ぜひ何らかの形で寄り添っていきたいです。最高に楽しくて刺激的でした。(住友ファーマ/駒野さん)

白浜がこんなにワーケーションの環境が整っているとは知りませんでした。今度は長期滞在にして、遠藤さんにまた会いたいです。(Nakatsu Design Works/加藤さん)

1年くらい一緒にいないとできない繋がりが、24時間くらいで出来上がったのがすごいと思いました。遠藤さんの思いが繋いでくれたんだと思います。共感による繋がりですよね。共感させる要素と、それを受け取れる様々な人材が集まったということです。とても記憶に残る2日間でした。(リコー/藤山さん)

異なるバックボーンだからこそ生まれる新しい価値を地域の課題解決に

こうして1泊2日のプロジェクトは終了しました。遠藤さんをはじめ地域事業者のみなさん、そして参加メンバーにとって、有意義な経験となったようです。地域の課題はその場に行って実際に見たり触れたり、関係者に深く話を聞かなければなかなか伝わりにくいものです。今回短期間ながらスムーズに進行できたのは、事前に実施したオンラインで状況の共有、把握ができていたこと、参加メンバーが協力しあい、うまくゴールを設定できたことが大きいでしょう。

それぞれ異なるバックボーンだからこそ、それぞれの知識と経験を共有し合い、新しい価値を生むことができます。今回はそれに答えた遠藤さんと和歌山県、白浜町の存在も大きかったようです。間違いなく、今後の活動の原動力になったことでしょう。

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