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DXを阻む課題とは?求められる理由や成功させるコツも解説

DXを阻む課題とは?求められる理由や成功させるコツも解説

DXを推進することは、これまで慣れ親しんだ仕事のやり方を変化させることになります。そのため、DX推進担当者のもとへ「新しいやり方を覚えるのがめんどくさい」「今までのデータが使えなくなるのは困る」という声も届くのではないでしょうか。

ビジネスシーンは大きく変化しており、対応していくには組織全体のDXが欠かせません。しかし、人材の不足やレガシーシステムの移行の難しさなど、DXにはさまざまな課題があるのが現状です。

本記事では、DX推進の課題や成功させるためのコツなどを、事例を交えて紹介します。社内全体のDXを推進し、業務効率化や生産性の向上につなげたい方は、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

DXとは従来のやり方をデジタル技術で変革すること

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業や組織がデジタル技術を活用して、従来のやり方を変革することです。ただ、ITツールを導入(デジタル化)するだけでは、DXとはいえません。DXは、単に技術の導入ではなく、組織文化の変革やプロセスの最適化、従業員のスキル向上といった多岐にわたる要素を含みます。

DXの目的は、業務効率化や顧客満足度の向上、新たなビジネスモデルの創出などです。経済産業省の「デジタルガバナンスコード2.0」では、DXを次のように定義しています。

『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。』

引用元:デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省

DXを取り入れることで企業の競争力が高まり、市場の変化にも迅速かつ柔軟に対応できるようになります。従来の価値観を超える先進性とスピード感を実現できるDXは、現代のビジネスにおいて重要な概念であり、組織の成長と繁栄に不可欠といえるのです。

DX推進を阻む5つの課題

DX推進を阻む課題としては、主に次の5つがあります。

・課題1.経営層の意識や理解不足

・課題2.DX人材不足

・課題3.DXを推進するためのコスト不足

・課題4.移行困難なレガシーシステム

・課題5.企業内の体制や環境

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

課題1.経営層の意識や理解不足

DX推進を阻む壁の一つは、経営陣の意識や理解不足です。

DXを推進するには手間やコストがかかるため、経営陣や現場から「めんどくさい」「今のシステムに慣れていて、新しいものは覚えられない」などと反対されることもあるでしょう。さらに、DXの用語は聞いたことがあっても、その本質や重要性を十分に理解していないケースも多くあります。

このような状況を解決するためには、経営陣にDXの意味と重要性を明確に伝えることが不可欠です。経営陣がDXの意味を理解し、必要性を認識することで、組織全体が一丸となってDX推進に取り組む体制が整います。経営層の理解と協力を得られれば、DXの取り組みはよりスムーズに進行し、組織の成長と競争力向上につながるでしょう。

課題2.DX人材不足

人材不足の深刻化も、DX推進の足かせとなっています。

総務省の『情報通信に関する現状報告(令和5年版情報通信白書)』のアンケート結果によると、デジタル化を進めるうえでの課題・障壁として、日本企業が最も多く回答しているのが人材不足(41.7%)です。激しい市場変化のなか、多くの企業でDXが求められており、DX人材の需要は増え続けています。

労働人口の減少やIT技術の進歩の速さなどにより、DX人材不足はさらに広がると予想されているため、早急に対応しなければなりません。

課題3.DXを推進するためのコスト不足

DXを推進するためのコスト不足も、大きな課題となっています。

DXを推進するには、新しいシステムへの移行やITツールの導入、それらに対応できる人員が必要となります。しかし、限られたコストのなかで、これらをすべて行うことは難しいのが現状です。

DX推進のために補助金を使うのも一つの手段ですが、誰もが申請できるわけではない点に注意が必要です。また、会計監査の対象となるなど、補助金の利用には制約もあるため、要項を把握してから申請しましょう。

課題4.移行困難なレガシーシステム

過去の技術や仕組みで構成されているレガシーシステムの存在も、DX推進の大きな課題です。

構築から20年以上経過しているシステムが、現在でも基盤システムとして利用されているケースが多く見られます。しかし、2025年には、基幹系システムの導入年数が21年以上になる企業の割合が6割を超える、定年退職によりシステムを扱える技術者が少なくなるなどの問題を抱えているのです。

IT人材不足も拡大することから、早期のレガシーシステムからの脱却が求められています。

参考:経済産業省│DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

課題5.企業内の体制や環境

現場の体制や環境がDX推進を阻む原因となっている場合もあります。

新しいシステムやツールを導入すると、現場の社員たちは操作方法や注意点などのルールを覚えなければならないため、導入に後ろ向きなケースが多く見られます。また、適切な人材が不足しており、組織の体制が整っていなければ、DXを導入しても効果は得られません。

DXを導入するためには、企業全体でDXへの知識と理解を深め、環境を整備していくことが重要です。適切な体制と環境づくりによりDX推進が可能となり、企業の競争力向上につながります。

DXが求められている3つの理由

DXが求められている理由は、主に3つあります。

・理由1.ビジネスシーンの変化に強い組織づくり

・理由2.働き方改革の推進

・理由3.2025年の崖問題への迅速な対応

それぞれの理由について詳しく解説します。

理由1.ビジネスシーンの変化に強い組織づくり

商品・サービスの提供方法や新商品リリースなど、絶えず変化し続けているビジネスシーンに対応するためには、DXの推進が不可欠です。また、近年ではDX先行企業による既存ビジネスの破壊と新たなビジネスの構築が加速化しています。そのため、従来のシステムでは競争力の低下につながりかねません。

こうした背景から、ビジネスシーンの変化に強い組織づくりの重要性が高まっています。DXの活用により、変化を予測して柔軟に対応できる組織文化を育成することが、ビジネス成功の鍵となるでしょう。

理由2.働き方改革の推進

働き方改革の推進に、DXは大いに役立ちます。

たとえば、定型的で単純な作業にITツールを導入し、自動化することで人による作業が減り、人でしか行えない業務に人材を充てられるようになります。業務の自動化に成功すると残業時間が減るため、従業員の健康維持につながるほか、コストダウンの効果も期待できるでしょう。

また、テレワークが一般化した現代においては、出社しなくても職場と同様に働けるような環境づくりが必要です。チャットツールやWeb会議システムなどのツールは、テレワーク環境を向上させるだけではなく、業務効率化にもつながります。

自社のニーズに適したシステムやツールを導入することで、働き方改革の飛躍的な推進を図れます。

理由3.2025年の崖問題への迅速な対応

DXが進まないと、さまざまな問題が発生して膨大な経済損失を招くといわれています。この問題を「2025年の崖」といい、速やかなDX推進が求められている理由の一つです。

とくに、20年以上経過している基幹システムは、現在使用していない言語で稼動しているケースも見られます。こうしたレガシーシステムは、保守費用の増大や、扱える技術者の離職・退職によるブラックボックス化につながると懸念されているため、早めに新システムへ移行しなければなりません。

2025年の崖による経済損失は、経済産業省によると最大で年間約12兆円といわれています。DXへの移行には手間もコストもかかりますが、現在のシステムを使い続けるほうが経済損失は拡大するおそれがあるため、早急な対策を講じましょう。

DXを阻む課題とは?求められる理由や成功させるコツも解説

DXの課題を解決する5つのコツ

DXの課題を解決するコツは、次の5つです。

・コツ1.DXへの意識や理解を深める

・コツ2.現在のシステムや業務体制の問題を洗い出す

・コツ4.事業者との関係性を見直す

・コツ5.外部ツールの活用を検討する

それぞれについて、詳しく解説します。

コツ1.DXへの意識や理解を深める

業務のDXを推進する際には、社内全体がDXの重要性を理解し、その意識を共有することが不可欠です。組織内での協力体制が整っていないと、DXへの取り組みはうまく進行しません。DXへの高い意識をもつ社員が中心となってプロジェクトを発足し、推進していくことが効果的です。

また、DXの取り組みは長期間にわたります。そのため、プロジェクトチームはメンバーのモチベーションを維持し、挫折を防ぐためのコミュニケーションが欠かせません。定期的な情報共有やフィードバックのセッションを設けることで、メンバー全員がプロジェクトの進捗を把握し、モチベーションを維持できるようになります。

さらに、DXの推進には組織全体を巻き込むコミュニケーション戦略も必要です。関連部署や関係者との密な連携を図り、情報の共有や意見交換を行うことで、組織全体でのDXへの協力体制を築けます。

コツ2.現在のシステムや業務体制の問題を洗い出す

企業のDX推進には、既存のシステムや業務体制の問題を洗い出すことも重要です。

課題発見フェーズとして、社内調査を行い、各工程の問題を洗い出します。レガシーシステムを利用している場合は、この時点で新しいシステムへの移行を検討しましょう。現在の問題を洗い出したら、どの工程をDXできるかを話し合います。

業務の問題点を十分に洗い出せない場合や、DXの進め方に迷っている場合は、外部のコンサルタントの力を借りるとよいでしょう。コンサルタントは経験豊富な専門家であり、業務プロセスの改善や新しい技術の導入に関する知識とノウハウを所有しています。彼らの助けを借りることで、迅速かつ効果的にDXを推進する方針を策定できます。

コツ3.DXによる成果を検討する

DXによる成果を検討することも、成功させるためのコツの一つです。

まず、企業の基本理念を再確認して、DX推進によるビジョンを明確にします。DXはあくまで手段のため、実現するためのビジョンを社内全体で共有することが重要です。

共通認識があると、社内全体で同じ方向に進めるようになり、DXを推進しやすくなります。

コツ4.事業者との関係性を見直す

企業のDX推進においては、事業者との関係性を見直すことも欠かせません。

DXには、豊富な知識と経験をもつ優れた事業者との関係性が重要です。自社のニーズに沿わない事業者とDXを進めようとすると、課題を解決できないだけではなく、余計なコストや時間がかかるおそれがあります。

外部の事業者と連携してDXを進めていく場合は、知識や経験・コミュニケーションなどに不適合がないかを慎重に検討しましょう。

コツ5.外部ツールの活用を検討する

社内のDX推進には、ツールの活用が不可欠です。現在使用しているツールで対応できない場合は、外部ツールの導入を検討しましょう。

一例として次のようなツールが挙げられます。

・RPAツール:人がPCで行うルーティーンワークを自動化するツール

・MAツール:マーケティングに関する業務を自動化・効率化するツール

・BIツール:さまざまな企業がもつデータを収集・分析・可視化して、経営・戦略に役立てるツール

・タスク管理システム:作業やプロジェクトの進捗を管理するツール

自社の課題を解決できるツールを導入すると、業務効率化やビジネスの拡大が期待できます。

たとえば、スプラッシュトップが提供する『Splashtop SOS』は、遠隔地からでもユーザーのデバイスにアクセスしてトラブルを解決できる、ワンタイムリモートサポートアプリです。Teamsをはじめとしたさまざまなツールとも連携可能で、ビジネスに必要なアプリを一つに集約できるため、利便性が飛躍的にアップします。

導入や操作も非常にシンプルで、使いやすさがお客様にも支持されています。リモート作業を行うユーザーだけではなく、システム管理者の負担も大幅に削減可能です。Splashtop SOSの活用により、業務のDXを大きく推進できます。

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DXで課題解決した事例3選

DXで課題解決した事例を3つ紹介します。

・事例1.工場をスマート化し「見せる工場」に進化:株式会社別川製作所

・事例2.工場を見える化し「チョコ停」の原因を解決:日信工業株式会社

・事例3.AIを導入し工場をスマート化:株式会社リコー

それぞれの事例について、成功のポイントを詳しく見ていきましょう。

事例1.工場をスマート化し「見せる工場」に進化:株式会社別川製作所

株式会社別川製作所は、2017年に「スマートファクトリープロジェクト」を開始してDXに取り組んできた企業です。スマートファクトリーとは、デジタルデータを活用した業務プロセスの改革や、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場を指します。

プロジェクトにおいてまず実施したことは、工場のAI・IoT化の促進です。これにより、生産性および品質向上が実現しました。さらに、2021年からは工場以外にも、本社のさまざまな業務にAI・IoT・RPAなどを活用し、労働生産性の向上につなげています。

DX推進において、最初は抵抗があるメンバーもいましたが、プロジェクトの進行とともに価値を実感し、積極的に参加するようになりました。プロジェクトチームは異なる部門や経験者を組み合わせて構成され、情報共有や新しい発想が生まれる仕組みを取り入れています。

参考:【事例で学ぶDX】自社工場のスマート化で“魅せる工場”に進化する別川製作所のDX化“リアル”ストーリー

事例2.工場を見える化し「チョコ停」の原因を解決:日進工業株式会社

日進工業株式会社は、生産性を向上させるために、機械の稼働率を最大限に活用することを重視しています。

たとえば、2015年から導入した「MCMsystem」により、武豊工場の設備稼働状況をリアルタイムに見える化したところ、稼働率が予想以下の55%であることが判明しました。しかし、設備が短時間停止する「チョコ停」の原因がデータ累積であることや、人の手による改善箇所の発見につながり、現在の稼働率は90%まで上昇しています。

稼働率の見える化により、現場の競争を促進するほか、工程間でのノウハウ共有を可能とし、社内の自発的な改善もできるようになりました。現在では、社外サービスとして、蓄積されたノウハウを活かした「身の丈IoTシステム」の提供も行っています。

参考:日進工業株式会社|中部DX推進コミュニティ

事例3.AIを導入し工場をスマート化:株式会社リコー

株式会社リコーでは、団塊の世代が退職することによる技術伝承の断絶や少子高齢化などの問題に対応していくために、DXを促進してきました。

たとえば、手動のフィードバック制御が用いられていたPxPトナーの品質制御に、品質自動制御システムを導入しました。これにより、トナー品質管理者を介さなくても、従来以上の工程能力を発揮しています。

さらに、設備にもセンサーで異常検知と自動運転ができるシステムを構築し、システムが生産情報の異常有無を自動で判定できるようになりました。その結果、従来の監視・確認作業を95%削減することに成功しています。

参考:ケミカルトナープラントにおけるデジタルトランスフォーメーショ|株式会社リコー

DXを理解し社内全体で業務効率化を目指そう

DXの目的は、デジタル技術を活用し、社内全体の業務を改革していくことにあります。システム担当者だけではなく、社内全体でDXがどのようなものなのかを理解していなければ業務効率化にはつながりません。社員全員がDXを学び、必要性を理解したうえで推進していきましょう。

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