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AR未来予想図 Vol.2 ARが仕事の最適化を実現する!年齢や働く場所に縛られない、未来の働き方とは

AR未来予想図 Vol.2 ARが仕事の最適化を実現する!年齢や働く場所に縛られない、未来の働き方とは

AR(拡張現実)とは、リアルな風景にバーチャルな視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある現実世界を仮想的に拡張する機能です。つまり、実際そこになくてもあるように見える、実際そこに行かなくても目の前にあるように見える、そんな世界観です。

ARと聞いて頭に浮かぶのは、ポケモンGOなどのエンタメや、インテリアの家具配置など、サービス拡充目的のものが多いかもしれません。しかし、昨今ではこのような領域に限らず、今まで思いもよらなかった場面でARが活用されるようになってきています。

そこで今回は、ARが変える働き方の未来を見ていきましょう。

「その場に行かなければ解決しない仕事」はAR×リモート技術で解決できる?

エレベーターや外壁などのビルメンテナンスや家電修理、医療・介護・福祉の仕事、運送業など、「その場に行かなければ解決しない」と思われている仕事はたくさんあります。コロナ禍でリモートワークが進んだ分、働き方の選択肢が少ない業界・仕事が意外とあることに気づかされました。しかし、全てをリモートに移行することはできなくても、新しい働き方が検討され始めています。そのヒントとなっているのが、ARの新しい活用方法です。

AR×リモート技術が取り払う場所の制約

「その場に行かなければ解決しない仕事」の制約の中には、実はAR×リモート技術で取り払える可能性があるものもあります。例えば、機械や建築物のメンテナンスの現場では、ベテランの技術者の判断が必要な場面も多々あります。しかし、その場にいる誰か、またはカメラが、ベテラン技術者の代わりに目となり手となることができるなら、わざわざ現場に駆けつける必要はなくなります。カメラがとらえた映像を通して、遠く離れた場所にいる技術者がリモートで状況を判断し、現場に指示を与えサポートするといった具合です。

その類の仕事は往々にして繊細な作業が必要となるため、映像と音声には高い品質が求められます。これらの技術の進歩もめまぐるしいものがあります。

例えば、Splashtopが提供する『Splashtop AR』は、技術者や管理職の専門家、またはモバイルワーカーなどを支援することを目的に開発されました。現場のスタッフやクライアントを、ARで視覚的に補助することで、様々な問題を解決します。ですから、『Splashtop AR』のリアカメラの映像は非常に高品質で、視認性が高いものです。もちろん音声通話も可能で、スマホ一台で完結します。遠く離れたチームとの距離は、テクノロジーでなくせる時代になりつつあるのです。

ARがもたらす雇用創出のカタチ

場所の制約から解放されるということは、現場がどこであれ、どこに住んでいようが、勤務が可能になるということです。就職のために都市に出てくる必要もないし、海外出張も不要になるかもしれません。移動時間が短縮され、仕事も効率的に進められるだけでなく、育児や介護、家事との両立が必要だったり、高齢者や身体にハンデを抱える人であっても、キャリアを諦めることなく知識やスキルを生かせる機会も増えるのではないでしょうか。

また、後継者が少ない職種においては、雇用創造や、後継者トレーニング機会の創出にも繋がります。

実際に現場のエンジニアトレーニングにARを活用した事例もあります。

イギリスの臨時電源及び冷凍・冷却温度制御機器レンタルソリューションの世界最大手企業Aggreko(アグレコ)では、サポートエンジニアのトレーニングにAR(拡張現実)技術を活用。適切なトレーニング機会を創出できただけでなく、年間約50万ドルものトレーニングコストの削減効果があったそうです。さらには、タイムリーに適切な情報提供ができることで、離職率低減の手応えも感じているといいます。(※1)

他にも、食品大手のネスレの事例をご紹介します。

ネスレでは、世界中の拠点の工場と専門人材を、リモートアシスタントのツールでつないでいるそうです。これにより、スタッフが現地に赴くことなく工場のサポートが可能になり、多拠点での作業を同時並行することで、グローバル規模での業務効率化が進んでいます。これに用いられているのは、リモートデスクトップ、スマートグラス、360度カメラや3Dソフトウェアといったもの。ARの活用によって、製造ラインのセットアップや再設計、メンテナンスや装置メーカーとの機器点検等の作業が遠隔にて行われているそうです。

出典:https://www.moguravr.com/nestle-ar/

ARを活用して長く働き、後継者を育てる

まだAR活用がされていない後継者が少ない現場でのAR活用イメージは、例えばこんなシーンです。

高所など高齢の技術者がその場に行きづらい現場で、若手(後継者)が現地に趣き、ARを介して指示出しを行う。

(例)

長年高所の設備メンテナンスを行ってきたベテラン技術者に代わって、若手の技術者が現地で登る。点検箇所の様子をベテラン技術者がARで点検。リアルな画像を見ながら現地の若手技術者に指示を送る。

このような働き方は、若手のトレーニング機会の創出だけでなく、専門性のある高齢者の雇用を守ります。技術継承の新しいスタイルとして、今後いろいろな分野で広がりを見せていくことでしょう。

訪問サービスにおけるリスクや過剰サービスの軽減

(例)

家電の修理、パソコンの不具合などでメーカーの担当者が自宅に訪問する際、サービスの受け手はプライバシーや個人情報の観点でストレスを感じがち。提供側も訪問中に追加作業が必要と言われたらその場で判断するのも難しく、想定外のサービス要求をされるリスクもある。

ARが組み込まれたリモートサービスなら、通常の音声通話と違い、実際の映像を見ながらARで作業や指示ができる。原因次第では、訪問せずとも解決できる可能性もある。また、問い合わせにはワンタイムパスワードを利用すれば、双方とも安心してサービスの授受ができる。

このような働き方は、雇用創出のみならず、適切な労働環境、フェアな取引条件を確立することにもなります。

ARは世の中に新しい働き方を生み出す

「デジタル化は人間の仕事を奪う」と言われることがあります。しかし、今回ご紹介したようなAR活用案では、リモート×ARの組み合わせを取り入れることで新しい働き方を生み出し、より多くの地域に雇用の機会を与えられる可能性があります。そしてそれは、多くの人、特に技術者、専門家を救うことになるでしょう。ARによって、働き方が最適化されているのです。

現場仕事に携わる人にとって、その場に行かなくてもこれまでのようなバリューが発揮できるなら、生活スタイルや年齢などの理由で仕事を諦める必要はなくなるかもしれません。

また、彼らの専門知識とARの掛け合わせによって、司令塔と現場作業者という役割分担ができれば、仕事の最適化が進み、雇用の創造、後継者不足の解消にも繋がるでしょう。

まさにARは、現実世界に新しい仕事の選択肢を示してくれる光になるのではないでしょうか。

出典

※1
AR活用でトレーニングコストを年間50万ドル削減、Aggrekoが取り組んだ業務改革

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