テレワークが普及するなか、自宅での電気使用量が増加して負担が増えている人は多いでしょう。パソコンや照明、冷暖房などの使用時間が増えるので、電気代の上昇は避けられない問題です。
そこで本記事では、テレワーク中でもさまざまな工夫を取り入れて電気代を抑える秘訣を紹介します。簡単に実践できる内容なので、ぜひ参考にしてください。電気代を節約すると、浮いたお金で外食やショッピングを楽しむ余裕が生まれます。
テレワークによる電気使用量の増加がリモートワーカーを直撃!
テレワークの電気代は基本的に自己負担の場合が多いです。リモートワークをはじめた当初は、高すぎる電気代に間違いではないかと疑う人も多かったでしょう。テレワークが家計を圧迫する背景について解説します。
・テレワークは電気使用量が意外と多い
・在宅勤務手当を支給する会社は3割弱
・テレワークで電気代が毎月数百円~数千円上がる
どのくらい電気代が上がったかを思い出しながら読んでみてください。
テレワークは電気使用量が意外と多い
自宅でのテレワークで使用する機器はパソコンだけではありません。照明や冷暖房機、加湿器など、体調を整える家電もあります。とくに、夏・冬は冷暖房機を長時間使用するので、電力消費が想像以上に膨らみかねません。
また、ノートパソコンのみで作業するのか、デスクトップパソコンとディスプレイ、グラフィックボードも使って作業するのか、という周辺機器の差でも電力消費量は変わります。より高度な技術を使って自宅でテレワークをする環境であれば、電気代は上がるでしょう。
在宅勤務手当を支給する会社は3割弱
リモートワークにおける社員の負担を軽減するために「在宅勤務手当」や「テレワーク手当」を支給する企業もあります。たとえば、富士通では在宅勤務手当として月額5,000円が支給されます。(※1)
しかし「テレワークによる家計への影響2021年版」(2022年4月26日)によると、テレワーク手当が支給されていない人は70.8%にもおよびました。(※2)
また「アフターコロナ時代の新しい働き方意識調査(2022年版)」(2022年4月13日)によると「電気代などの光熱費」の補助を受けたいと希望する社員が62%であるのに対して、支給している企業はわずか17%でした。(※3)
柔軟な働き方を実現するはずのリモートワークが「金銭的負担のかかる損なもの働き方」になってしまっては、元も子もありません。リモートワークの支援のあり方についても、議論が進むことが望まれます。
※1富士通は手当整備 テレワークで表彰 厚労省(労働新聞社)
※2【テレワークによる家計への影響】約7割が、「電気代」増加を実感。企業の「テレワーク手当」導入状況も明らかに。(株式会社LASSIC)
※3「アフターコロナ時代の新しい働き方意識調査」(ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社)
テレワークで電気代が毎月数百円~数千円上がる
テレワークを始めると、稼働時間や日数にもよりますが、毎月の電気代が数百円から数千円上がるケースが多いです。一般的にどのくらい高騰するのか、各機器の消費電力と料金をまとめます。
機器 | 消費電力(1時間あたり) | 電気代(1時間あたり) | 8時間使用の目安(円) |
---|---|---|---|
デスクトップパソコン ※FMV参照 | 35〜122W | 1.08円〜3.78円 | 8.64円〜30.24円 |
ノートパソコン ※LAVIE参照 | 0.4〜8.7W | 0.01円〜0.26円 | 0.08円〜2.08円 |
エアコン(冷房) ※省エネ性能カタログ2022年版より15〜23畳の各メーカーの平均値参照 | 平均1,891W | 58.6円 | 468.8円 |
平均1,748W | 54.1円 | 432.8円 | |
照明(白熱電球) ※長寿命シリカ 60W形 2P参照 | 60W | 1.6円 | 12.8円 |
※新電力料金目安単価(1時間に1000W使用)31円/kWh(税込)で計算
自宅で発生する電気代を見比べると、冷房エアコンがとくに高いです。1日8時間テレワークすれば約500円発生し、毎日積み重ねると高額になることは容易に想像できます。
ただし、冷暖房を我慢することは、体調不良の原因となるのでおすすめできません。
テレワークでいくら電気使用量が増えるのか家電ごとに紹介
テレワークで電気使用量がどのくらい高くなるのか、家電ごとに算出します。テレワークが週1日なのか、週5日なのかというケースバイケースに沿って確認しましょう。
・パソコン
・冷房・暖房
・照明
・冷蔵庫
・電気代以外に発生する費用
自分のワークスタイルから、増加する電気代をイメージしてみてください。
パソコン
1日8時間テレワークをする場合の、ノートパソコン・デスクトップパソコン・ディスプレイ(モニター)の電気代を日数ごとにまとめます。
テレワーク日数 | ノートパソコン ※LAVIE参照 | デスクトップ ※FMV参照 | ディスプレイ ※DELLEシリーズ参照 |
---|---|---|---|
週1日(月4日) | 0.32円〜8.32円 | 34.56円〜120.96円 | 13.76円 |
週3日(月12日) | 0.96円〜24.96円 | 103.68円〜362.88円 | 41.28円 |
週5日(月20日) | 1.66円〜41.6円 | 172.8円〜604.8円 | 68.8円 |
とくに、デスクトップパソコンの電気代が大幅に増加することがわかります。消費電力を抑えるために省エネのノートパソコンを検討するのもよいでしょう。
冷房・暖房
1日8時間テレワークをする場合の、冷房・暖房の電気代を日数ごとにまとめます。
テレワーク日数 | エアコン(冷房) ※省エネ性能カタログ 2022年版より 15~23畳の各メーカーの平均値参照 | エアコン(暖房) ※省エネ性能カタログ 2022年版より 15~23畳の各メーカーの平均値参照 |
---|---|---|
週1日(月4日) | 1,875.2円 | 1,731.2円 |
週3日(月12日) | 5,625円 | 5,193.6円 |
週5日(月20日) | 9,376円 | 8,656円 |
エアコンの電気消費は、暖房が冷房よりもやや抑えられていますが、大きな差はありません。夏場のテレワークは毎日冷房をつけっぱなしにすることが多く、電気代が高騰しやすくなります。設定温度を調整して、エネルギー消費を意識した働き方が必要です。
照明
1日8時間テレワークする場合の、照明タイプごとの電気代をまとめます。
テレワーク日数 | 白熱電球 ※長寿命シリカ 60W形 2P参照 | 蛍光灯 ※Panasonic パルックプレミア 20000参照 | LED ※Panasonic パルックLEDシーリングライト参照 |
---|---|---|---|
週1日(月4日) | 51.2円 | 2.96円 | 2.87円 |
週3日(月12日) | 153.6円 | 8.88円 | 8.63円 |
週5日(月20日) | 256円 | 14.8円 | 14.35円 |
テレワークをする部屋の照明器具によって、電気消費量は変わります。白熱球は消費量が高いので、料金を抑えたい場合は蛍光灯やLED照明が望ましいです。
テレワークはパソコン作業が多く、画面を見やすくするために日中でも照明を必要とするケースが多いでしょう。パソコン作業をするうえで快適な視界を保つことも大切なので、これを機に、どのようなタイプの電球を使っているのか、一度確認してみてください。
冷蔵庫
冷蔵庫は、テレワークに関係なく24時間稼働しています。電気消費量は変わらないように思えますが、在宅時間が長くなると冷蔵庫の開け閉めが多くなり電気代に影響を与えます。
たとえば、Panasonicの「601L冷凍冷蔵庫NR-F60HX1」の電気消費量は、定格消費電力が293Wなので、フル稼働すると1時間約8円です。1時間冷蔵庫を開けっ放しにすることはほぼないと想定されますが、開け閉めにより庫内の温度が上昇すると、元の温度に冷やすために電力を消費するため、電気代が上がってしまいます。
電気代以外に発生する費用
テレワークでは、電気代以外にも以下のような費用が発生します。
● 飲食による水道・ガス代
● 作業用の文房具
● デスク・パソコンチェア
とくに、長時間作業するためのデスク周りの環境は重要です。作業しやすい椅子やモニターを置くデスクなど、快適に仕事をするための準備は意外と出費がかさみます。
テレワークの電気代を節約する8つの方法
テレワークは家庭の電力消費を増やし、電気代に直結するのでうまく節約しましょう。ただし、過度な節約は健康被害を引き起こす危険性があります。以下の節約方法を参考に、できる範囲で取り組んでみてください。
・1. LED照明を使用する
・2. パソコンは省エネモードにする
・3. エアコンの設定温度を見直す
・4. 窓やドアの断熱効果を高める
・5. 省エネ家電を選ぶ
・6. 節約できるレイアウトにする
・7. 使用していないコンセントを抜く
・8. 定期的に電力使用を確認する
それぞれ節約するポイントや例を挙げて解説します。
1. LED照明を使用する
LED照明は、白熱電球や蛍光灯に比べて圧倒的に電力消費が少なく、長寿命なので節約に適しています。購入時はLED電球の金額が高く感じるかもしれませんが、一度購入すれば50,000時間ほど利用できるものが多く、初期投資以上の効果があります。
たとえば、リビングルームでテレワークをしている場合、電球が大きいので、白熱電球からLEDに変えるだけで年間数千円節約できる可能性もあり効果的です。
2. パソコンは省エネモードにする
パソコンの省電力モードを使用すると、電力消費を抑えられます。たとえば、通常60Wのところ30Wに節約できれば、パソコンの電気代が半分になります。自動スリープ設定やディスプレイオフ設定も活用して、離席した際はすぐに節約モードにすることが理想です。具体的な設定方法は以下を参考にしてください。
・Windows:設定→システム→電源とスリープ→追加の電源設定→省電力プラン
・Mac:システム環境設定→省エネルギー→エネルギーセーバー
上記の手順で、パソコンごとの省エネモードの設定が可能です。テレワーク中の節約法として出費せずに取り組める方法です。
3. エアコンの設定温度を見直す
エアコンの冷暖房機能は電力消費に大きく関係します。テレワークを快適にするためには温度設定が重要なので、支障のない範囲で設定温度を見直しましょう。設定温度を1℃見直すだけで節約効果があります。
・冷房:温度設定を1度高くすると約13%消費電力の削減
・暖房:設定温度を1度低くすると約10%消費電力の削減
また、フィルターの掃除をこまめに行いムダな電力消費を防いだり、タイマー機能を活用して使用時間を制限したりすることも電気代節約につながります。
4. 窓やドアの断熱効果を高める
冬場のテレワーク中に寒さを我慢しないために、窓やドアの断熱効果を高めておくと安心です。部屋を温めておけばエアコンの使用頻度減少や設定温度調節により節約できます。具体的な方法は以下のとおりです。
・窓の断熱シート
・厚手・断熱カーテン
・ドアの隙間埋めグッズ
どの商品もホームセンターや100円ショップで購入できます。雪の降る地方では冬の電気代が夏場の2倍になることもあり、節約は必須です。
5. 省エネ家電を選ぶ
テレワーク中によく使用する家電は、省エネ家電を選んで電力消費を削減しましょう。環境保護の観点からも省エネ家電は重要視されており、家電量販店では多くの種類が販売されています。以下の家電を買い換える予定があれば、省エネ製品を選んでみてください。
・省エネモデル冷蔵庫
・少量洗浄機能付き食器洗浄機
・少量洗いモード付き洗濯機
・自動運転モード付き空気清浄機
・LEDバックライトテレビ
・省エネロボット掃除機
・ecoモード付き炊飯器
テレワークに直結しなくとも、在宅時間に利用する頻度が高い家電を挙げました。eco運転できる家電で電気代を抑えられます。
6. 節約できるレイアウトにする
テレワークする部屋のレイアウトを工夫することも電気代節約につながります。家具の配置や窓の位置を調整するだけで簡単です。
・窓際にデスクを配置して照明を使用しない
・エアコンの吹き出し口に家具を置かない
・狭い部屋でテレワークして冷暖房効果を上げる
シンプルな方法で電力消費を削減できるので試してみてください。
7. 使用していないコンセントを抜く
電化製品は使用していなくても、待機電力として少しずつ電力を消費しています。テレワーク中に使用しない家電はコンセントを抜いて節約効果を高めましょう。電気代の節約だけではなく、使用外の時間に通電しなければ家電の寿命を延ばす効果もあり、長い目で見ても多くのメリットがあります。
とくに、電源タップを使用して、家電を使わないときはタップから電源をオフにする方法がおすすめです。コンセントを抜く手間がなく、一度に全部の電源を切ることも可能なので簡単に節約できます。
8. 定期的に電力使用を確認する
電力使用量を確認できるサービスやアプリがあります。毎日確認すると、数字から自宅の電力消費がわかるので、意識して節約に取り組めるでしょう。たとえば、三菱電機では電気の使用量を分電盤を通じて計測し、アプリで確認できるサービスを提供しています。
参考:“電気がみえる”アプリ公開 使用量を一目で確認 三菱電機
テレワークを推進する企業の担当者は、このようなサービスを従業員に案内することも効果的です。サービスの導入方法や使い方がわからない従業員へのフォローには、リモートサポートツールがあると役立ちます。
『Splashtop SOS』を使用すれば、遠隔からでも管理者が従業員のデバイスにアクセスして操作方法を指示したり、トラブルを解決したりすることができます。音声通話と画面共有でサポートを提供できるため、ITツールに慣れていない従業員でも安心です。
詳しくはこちらからご確認ください。
テレワークの電気代についてよくある質問
テレワーク中の人も、これからテレワークを導入する企業も、高騰する電気代に不安を覚える方は多いでしょう。そこで、テレワークの電気代に関してよくある質問を2つピックアップしました。
・テレワークの電気代は経費として計上できる?
・テレワークと通勤はどちらがお得?
それぞれ解説します。
テレワークの電気代は経費として計上できる?
テレワーク中の電気代について、経費として計上できるのは個人事業主で自宅を職場としている場合に限ります。会社勤めの従業員は、通常は個人の確定申告で経費として申請することはできません。会社員はテレワーク手当で補填するのが一般的です。
テレワークと通勤はどちらがお得?
テレワークと通勤は、実際にかかるコストを比較してどちらがお得かを判断しましょう。テレワーク中は定期代やガソリン代がかからないので交通費を節約できます。一方で通勤すれば、仕事中は自宅にいないので電力消費を大幅に節約できます。
また、テレワークと通勤を組み合わせたハイブリットワークもおすすめです。集中したいときはリモートで、コミュニケーションが必要な場合は出社して、というイメージで柔軟に働き方を選択できます。
自分の通勤スタイルや生活観を見直して、費用的に適した手段を選ぶことが理想的です。
テレワーク中の電気代を賢く節約しよう
テレワーク中の電気代を節約するためには、いくつか工夫を重ねて継続する必要があります。省エネ家電やLED照明を取り入れるほか、エアコンの設定温度も見直してエネルギー効率を高めましょう。また、電力確認サービスやアプリなどを使用して、節約を意識すればテレワーク中でも電気代を抑えられます。
テレワークを推進する企業の担当者の方も、従業員から電気代の増加をはじめさまざまなトラブルへの対処を求められているかもしれません。
テレワーク中のユーザーの困りごとを解決するには、リモートでサポートできる『Splashtop SOS』がおすすめです。従業員が操作に困ったときでも、管理者がパソコンやスマホへ遠隔からアクセスして直接サポートを提供し、問題を解決できます。
テレワーク中の強い味方となりますので、気になる方はぜひ以下からお問い合わせください。